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国際
【イラン経済制裁】核拡散阻止へ譲歩狙う米国 “綱渡り”の戦略も
2012.1.12 21:04
[イラン]
【ワシントン=犬塚陽介】オバマ米政権は「イランの核」がテロ組織への拡散や中東諸国の核開発競争を招きかねないことを懸念し、経済制裁でイラン側の譲歩を引き出す方針を崩さない。ただ、行き過ぎた制裁が原油価格の高騰を招き、米経済に冷や水となることへの警戒感も強く、“綱渡り”のイラン戦略を余儀なくされている。
オバマ政権は当初、原油高騰を招けば、イランを利するとして経済制裁に慎重だった。だが、11月の選挙を見据えた議会は制裁に積極的で、早期成立が不可欠だった国防権限法案にイラン制裁案を盛り込む“離れ業”を繰り出し、大統領の拒否権発動を断念させて法案を成立させた経緯がある。
外交筋によると、オバマ政権は中国や他の発展途上国が制裁への同調を拒否するとの見方から、まずは同盟国にイラン原油の輸入削減を求める方針に傾いた。
中でも日本と韓国、欧州連合(EU)はイランの原油輸出の約5割を占めており、「段階的な削減が実現できれば、原油の高騰を招くことなく、イランに打撃を与えられる」(元政権高官)との計算がある。取引状況に応じて2~6カ月の猶予期間を設け、著しく輸入が減った場合や安全保障の観点で必要と認められれば、大統領に制裁回避の権限があるのもこのためだ。
一方、米海軍はアラビア海に空母2隻を展開。イランがちらつかせるホルムズ海峡封鎖は「超えてはならない一線」(パネッタ国防長官)と警告し、不測の事態に備えている。
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