弁護士・後藤啓二さん「警察にいたからこそ理不尽痛感」
産経新聞 2月3日(金)15時15分配信
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「子供と女性を守るために訴え続ける」と法改正実現を目指す後藤啓二さん(写真:産経新聞) |
後藤 警察庁では法律や制度の企画、整備を担当することが多く、暴対法の制定や道交法、風営法の改正などに携わりました。30歳になり、自分を見つめ直し、警察庁だけの付き合いを外に広げたいとの思いも強まりました。法律の知識を身につける必要性を感じ、司法試験に挑戦しました。通勤時間を利用して勉強し、平成4年に4回目の受験で合格しました。実は、大学時代、公務員試験とともに司法試験も受けましたが、当時は弁護士になる気はありませんでした。
−−気持ちが変わったのは
後藤 司法試験に合格し、7年から2年間、司法修習を受けました。その後も仕事にやりがいは感じていましたが、45歳のとき人生の折り返し地点を迎え、警察以外で関心のあることに取り組みたいと思うようになり、23年間勤めた警察庁を退職しました。同期20人のうち退職者は私を含めて3人です。
−−その後弁護士に転身した
後藤 東京の弁護士事務所で修業した後、20年7月、神戸・北野に事務所を構えました。主に企業のコンプライアンス(法令順守)や危機管理への対応などを扱う企業法務が専門です。今や企業の不祥事に対する社会の目は厳しくなっており、法の規制も強まっていて、弁護士としてさまざまな問題に対するアドバイスを求められます。
−−なぜ事務所は神戸に
後藤 現在は東京と神戸を行き来する生活です。ずっと東京に住みたいわけではなかったので、生まれ育った神戸に事務所を構えようと決めていました。神戸は阪神大震災の被害を受けましたが、見事によみがえりました。半壊した自宅には、母が1人で暮らしていたので発生から5日目に関西空港から船でメリケンパーク(神戸市中央区)に上陸し、電車と徒歩でようやく自宅にたどり着きました。当時は警察庁に勤務していましたが、ほぼ毎週末は神戸に通いました。鉄道の高架が落ち、家もビルもつぶれていた。母校の灘中、灘高も避難所と遺体安置所になっていた。当時は「復興は無理かもしれない」と思ったものです。
−−警察庁を離れて思うことは
後藤 私は、虐待や児童ポルノ問題など子供への犯罪のほか、「全国犯罪被害者の会(あすの会)」の顧問弁護団の一員です。これらは仕事というよりライフワークです。子供や女性、犯罪被害者を守るための対策を諸外国並みにとろうとしない国や制度のおかしさは警察にいたからこそ身近に感じ、理不尽さを痛感できたため、今につながっていると思います。また、いまも法改正や各種犯罪対策の要請などで、警察庁や元同僚らと会う機会は多く、縁は続いています。
−−今後の活動は
後藤 インターネットで検索してもらうと一目瞭然ですが、私に対する誹謗(ひぼう)中傷サイトは山ほどあります。私の活動を批判する児童ポルノ愛好家らからで、すべて匿名です。正々堂々と議論してほしいですね。警察庁時代からの私の活動の原点である「子供と女性に対する犯罪」を減らすためにも各法改正の実現を目指して世間に訴え続けていくつもりです。(聞き手 池田祥子)
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最終更新:2月3日(金)16時25分
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