【コラム】反省を知らない外交通商部

 カメルーンのダイヤモンド鉱山をめぐるスキャンダルの中心人物、外交通商部の金殷石(キム・ウンソク)エネルギー資源大使は2008年、「勤政褒章」を受章した。この勲章は、韓国政府が国家と国民に顕著な功績を収めた人物に贈るもので、公務員にとってあこがれの名誉だ。金大使は在米韓国大使館に勤務していたころ、米議会下院が日本軍の従軍慰安婦問題に関する謝罪要求決議案を採択する上での功労が認められ、勤政褒章を受け取った。外交官が赴任することすら難しい米国に2回も赴任し「米議会を動かす新たな外交モデルを示した」と評された。金大使は資源開発業者CNKに関する虚偽の報道発表を行い、同社の株価を急騰させるまでは「模範外交官」だったと言える。

 在米韓国大使館にある金大使の執務室を訪ねた際、すぐに目に付いたものは、従軍慰安婦決議案をはじめ、米議会で可決された韓国関連の法案10数本が収められた大きな額縁だった。金大使はそれほど自分の仕事に大きな自負があった。08年に帰国し、資源外交を担当した後には、ほかの外交官が嫌がるアフリカ出張に11回も出掛けるほど積極的だった。そのため、金大使をめぐって「功名を焦っている」という批判が出るのも仕方のないことだった。

 外交通商部(省に相当)の内部には、金大使が親族や女性秘書が保有するCNK株の株価をつり上げるために虚偽の報道発表を行ったと考える人はほとんどいない。金大使の行動を知って驚く一方で「政界が李明博(イ・ミョンバク)政権の実力者だったパク・ヨンジュン企画財政部次官を狙って放った矢に外交通商部が当たったものだ」との声が聞かれる。「世間知らずの外交官が仕手筋にやられた」との同情論も存在する。今回の事件を放置した外交通商部に対する自省論はかけらもない、といっても過言ではない。

 今ではエリート外交官として活躍してきた金大使が誰を信じて特定企業の株価に影響を与える「虚偽報道資料」を配布したのかは分からない。ただ確かなことは、金大使に対する監査院の調査や検察の捜査とは別に、外交通商部のシステム的問題を指摘せざるを得ないという点だ。

 外交通商部は金大使がパク次官と親しい間柄にあるという理由から、金大使の行動を怪しむことなく全くストップをかけなかった。金大使が首相室、外交通商部で3年以上にわたり資源外交を担当しながら、その間に金大使を監督、けん制したという記録は皆無だ。このため、金大使は特に検証も受けない状況の中で、10年12月に外交通商部最大の汚点となった「ダイヤモンド推定埋蔵量4億2000万カラット以上」とする報道資料を配布することができた。また、昨年6月にCNK事件の問題点を指摘するマスコミ報道があった際にも、それに反論する報道資料を発表した。

 外交通商部は今回の事件を金大使による「一人芝居」として片付けようとしているが、問題の本質は権力の顔色をうかがう外交システムにある。政権の実力者に近い立場にあった外交官を監督できず、国民から「外交情報を財テクに利用した」と非難されたことについては、いかなる形であれ再検証が必要だ。

李河遠(イ・ハウォン)政治部次長
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