九州電力は3日、液化天然ガス(LNG)火力の新大分発電所(大分市、3基合計で出力229万5千キロワット)が午前4時ごろ、燃料設備の凍結に伴うトラブルで全て停止したと発表した。需要に対して供給力が不足する事態に陥り、東京電力を含む電力6社からの過去最大の緊急融通(240万キロワット)を受けたほか、事前に契約していた九州の製造業46社に利用抑制を要請。同日午前、8割強の運転が再開し、停電は回避した。
九電は午前8時から緊急会見を福岡市の本店で開き、深堀慶憲副社長が「全力で保守してきたが、トラブルは残念で申し訳ない」と謝罪した。
九電によると、午前3時55分、LNGをタンクから発電所に送る途中で流量を調整する弁が開かず、燃料が供給できずに3基が順次停止した。調整弁の開閉は空気で行うが、寒波で空気を送る鉄製の配管にたまっていた水が凍結し、空気が送れなくなった。凍結時の気温は氷点下4・3度だったという。
配管の管理は、子会社の大分エル・エヌ・ジー(大分市)が担当しており、九電は、配管の検査方法に問題がなかったか調べる。凍結した配管はお湯をかけて復旧させたという。
午前8時ごろまでに九電に融通した他電力は、中部電力の70万キロワットが最大で、東京、北陸、関西、中国、四国の6社だった。
一方、午前5時前に大口46社に需要抑制を要請し、約30社(合計で30万キロワット規模)が応じた。西日本新聞の取材では、少なくとも1社が終日休業を決めた。需要抑制の要請についても、2005年の台風で宮崎県内の1社に実施したことはあるが、今回の規模は過去に例がない。要請は午前8時半に解除した。
冬場は家庭などの暖房需要が増える朝夕が利用のピーク。九電は、3日夕のピークとなる午後7時の需給見通しを、需要1470万キロワット、供給力1548万キロワットで、予備率は5・3%と発表し、「本日の電力供給に支障は生じない」と説明。5%の節電要請は、予定通り同日で終了するとしている。
=2012/02/03付 西日本新聞夕刊=