Updated: Tokyo  2012/02/03 18:57  |  New York  2012/02/03 04:57  |  London  2012/02/03 09:57
 

山口日銀副総裁:「直ちに政策対応必要と思わず」-円高進行で(2)

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2月2日(ブルームバーグ):日本銀行の山口広秀副総裁は2日午後、高松市内で会見し、円高が進んでいることについて、日本経済や物価への影響を「それなりの時間をかけて慎重にみる必要がある」とした上で、金融政策運営について「このところの円高を見て、直ちに政策対応が必要だと思っているということではない」と述べた。

  副総裁は為替市場の動向に関し「このところ少し米国経済について慎重な見方が出てきていることを背景にして円高が少し進んでいる」と指摘。「今、日本経済は海外経済に非常に影響を受けやすい状況であり、その下での円高進行は輸出や企業収益に影響を与える要因になる。さらには企業のマインドにも悪影響を及ぼす可能性がある」とした上で、円高の影響を「注意深く見ていく必要がある」と語った。

  山口副総裁は会見に先立つ講演で、金融政策運営について「海外経済の減速や円高の影響など、当面の情勢には不確実性が大きいことを十分認識し、引き続き適切な政策対応に努めていく」と述べていた。

  副総裁は「為替市場の動向は非常に振れやすいため、その基調を判断するにはそれなりの時間をかけて慎重にみる必要がある」と指摘。「昨今の円高が仮に続いていく場合に、日本経済と物価にどのような影響を与えるのか、慎重に見極めつつ政策対応を考えていく」と述べた。

            時間軸の見直し

  先月25日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が物価上昇率に関する「長期的な目標(longer-run goal)」を導入したことに関連し、「金融政策の運営に当たっては、市場とのコミュニケーションの在り方を含め、客観的かつ冷静な目で不断に点検していくことが重要だ」と語った。

  日銀は中長期的な物価の安定として、消費者物価指数の前年比で2%以下のプラス、中心1%という数値を示しており、「物価の安定が展望できるまで実質ゼロ金利政策を継続する」と約束している。

  こうした物価安定の考え方や金融政策運営のコミットメント(約束)を将来変える可能性については、「いかなる政策も、かなり長きにわたって見直しを施さないと断言できるかというと、そういうものではないと思っている。従って、状況、状況で変え得るものだというのは一般論としてはあるのだろうと思う」と指摘。

  一方で、「しかし、差し迫って、今、そうしたことが必要だという認識に立っているのかというと、私自身は今はそういう状況にあるとは思っていない」との認識を示した。

         「数値上の違いは当然」

  山口副総裁はFOMCが長期的な目標として2%の物価上昇率を示したことについて日銀との違いを問われ、「数値上の違いがあるのは当然と言えば当然」と述べた。

  一方、「彼らは雇用にも目配りしながら、物価の安定を図っていくという立場を明確に語っている。この点はわれわれも中長期的な物価の安定について表現を明確にしているが、同時に金融的な不均衡その他のリスク要因をため込むことがないかどうかのチェックと合わせながら物価の安定を見ていくという考え方を示している」と表明。

  その上で、FOMCが「今回導入した市場との対話の方法と、われわれの中長期的な物価の安定の考え方を示しながら、政策の構えを示している方法は、考え方において基本的に変わりはないと思っている」と述べた。

  また、FOMCが異例の低金利を「2014年遅くまで」続けるとしていることについて「日銀は確かに時期を明確にしていないように見える」としながらも、「米国についても経済状況その他についてきちんとした条件付けをしながら時期を明らかにしている」と指摘。「14年遅くというのが、何があってもそこまで今の極めて低い金利水準を続けるという約束はしてない」との見方を示した。

  その上で「よくよく言い方を比較すると、この面でも大きな違いがあるわけではないと受け止めている」と語った。

記事に関する記者への問い合わせ先:高松市 日高正裕 Masahiro Hidaka mhidaka@bloomberg.net

記事に関するエディターへの問い合わせ先:東京 大久保義人 Yoshito Okubo yokubo1@bloomberg.net香港 Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net

更新日時: 2012/02/02 16:27 JST

 
 
 
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