「営業マンへの対処法があれば教えてほしい」と取材等で尋ねられることがあります。
私は、歩合制の営業担当者だった頃、「その一言を待っていました!」と感じていたお客様の言葉を「禁句」として紹介し、回答にかえています。具体的には次のとおりです。
(1)「“おすすめ”はありますか?」
たとえば、公的年金への不安から老後資金を自力で準備しておきたいと考えていらっしゃる方から、「貯蓄ができる保険があれば……と思っています。何か“おすすめ”があったら教えてください」と言われることがあります。
売り手の出方を探る目的であれば構いませんが、「自分ではよくわからないので詳しい人に聞いてみたい」ということであれば危険だと思います。助言の正しさより営業成績にこだわる担当者が対応する場合、販売手数料が高い商品を優先的に案内される可能性が大きくなるからです。
加えて、「予算はXX円くらいです」といった発言も慎むべきです。資産運用など、保険活用以外の選択があっていいはずの分野において、加入を前提とした案内を促すことになります。せっかく成約できるのであれば……と、やはり「売り手にとってのおすすめ」が提示される恐れがあるのです。
おすすめ商品を尋ねるお客様には、次の一言を発する傾向も強くあります。
(2)「皆、どうしていますか?」
この質問に対する正しい答えは「そもそも『皆』って誰のことでしょうか?仮に、売り手を疑うことをしない多くの人たちのことであれば、最も参考にしてはいけない事例に倣おうとすることになりませんか?」というものだと思います。
しかし、そんなことを言ってもお客様に嫌われるだけなので、担当者は提示中の商品の購入につながる肯定的なコメントを追加するだけです。「今、人気があるのはこの保険ですね」とでも言っておけば、責任所在も明らかにはなりません。
お客様にとって最適な選択を目指すのであれば、専門家でもなんでもない人たちの判断は気にしないことが大切です。