ニュースで見たんですが、イタリアで客船が横転して船長が避難誘導もせずに逃げちゃった時の沿岸警備隊と船長との無線通信が動画で上がってました。
「船に戻って状況を報告しろ」「いや…その・・・」と絵に描いたような「ヒーローVS駄目人間」のやりとりで、不謹慎だけど笑ってしまいます。当のイタリアや他の国でも「Vada a bordo, Cazzo(船に戻りなさい)」という警備隊のセリフが大受けしたようでTシャツにされたり、いろんなネタにされてるようです。







ドイツの首相が描かれてるのはEUの経済危機から自分達だけを守ろうとするのを皮肉ってます(どの国もそんなもんだと思うけど)

で、実際の会話では「Vada a bordo」と言ったり「Va a bordo」とも言ってます。なんで2種類あるかというと「va」は「行く(andare)」という動詞の二人称への命令なんですが、Vaは「お前」とか親しい二人称へ向けて使う命令形、Vadaは「あなた」とか敬意をこめた二人称への命令形(欧州言語の多くは動詞の活用形が盛りだくさん!覚えるだけで軽く死ねる!)。

基本、警備隊の人は敬意を込める形の動詞を多く使ってるので、「お前はさっさと戻れ!」というより「早く戻りなさい」と軍人として冷静に命令してるわけです。Cazzoは男性器のスラングだけどけっこうありふれた罵りで、強調させる時にも使うので(英語のfuckみたく)「船へ戻れ、この**野郎」みたいな翻訳は不適当でしょう。(じゃあどう翻訳すべきかと言われたらすっげー困る)

じゃあ、たまに入る「お前」系の動詞は何か。ここがわからないんですよね。口が滑ったのか、私が知らないだけで日本語の「お前」ほどぶしつけな言い方じゃないのか。イタリア人に聞いてみたい。

ちなみに船長の名前はフランチェスコ・シェッティーノ、警備隊の人はグレゴリオ・マリア・デ・ファルコというそうです。なんか勇ましい名前だ。