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2012年2月3日(金)付

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子育て支援策―保育の発想を変えよう

今国会の冒頭、野田首相が行った施政方針演説のなかで、ただひとつ、固有名詞のあがった社会保障の政策がある。「子ども・子育て新システム」。5%幅の消費増税から、年間7千億円[記事全文]

暴力団―市民への無法許されぬ

見せつけや脅しの域をとうに超え、まさに異常事態である。断じて許すことはできない。福岡県中間市で先日、建設会社社長が腹などを撃たれて重傷を負った。福岡県内で昨年おきた発砲[記事全文]

子育て支援策―保育の発想を変えよう

 今国会の冒頭、野田首相が行った施政方針演説のなかで、ただひとつ、固有名詞のあがった社会保障の政策がある。

 「子ども・子育て新システム」。5%幅の消費増税から、年間7千億円を投入する。少子化対策を通じた現役世代支援の切り札であり、社会保障と税の一体改革の目玉である。

 しかし、中身を知っている人は少ないだろう。

 その詳しい制度案が、有識者の検討会合でまとまった。

 これが複雑でわかりにくい。全体像を把握するには、まず出発点となる問題意識をおさえる必要がある。

 一つは、正社員の夫と専業主婦という世帯はもはや標準ではなく、今後の子育て世代は共働きでなければ生活が難しいという社会の変容である。

 これまで、働く母親の子どもは「保育に欠ける」とされ、福祉の対象だった。その発想を転換し、保育をほとんどの人が利用する普遍的なサービスにしようというのだ。老人福祉が介護保険になったのと似ている。

 その手立てとして、認可保育所だけでなく、幼稚園にも保育に参加してもらう。株式会社など多様な主体の参入を促す。

 そして、都市部を中心に全国で約2万6千人いる待機児童の解消を目指す。正社員だけでなく、親がパート勤務でも子どもを預けやすくする。

 もう一つの問題意識は、地縁や血縁による支えが弱くなった今の子育ては、昔よりずっと難しいという現実である。

 だから、働いていない親でも子どもを短時間預かってもらえるよう、地域でのサービスの量と種類を増やす。親を孤立させないのが眼目だ。

 現状を大きく変えるだけに、不安も大きい。財源を委ねられた市町村が必要なサービスを確保する責任を果たせるのか。規制緩和でサービス量が拡大しても、質が低下しないか。特に株式会社が本格参入することへの警戒感は根強い。

 意見の対立を乗り越えさせたのは、「子育てに財源を確保する」という共通目標だ。

 省庁の壁で分けられていた保育所と幼稚園、自治体、経済界らの代表が一堂に会して「子育て」を議論し、結論にたどりついたことは評価する。

 法案は3月に国会提出の予定だが、野党の賛成を得られる見通しは立っていない。

 子育て支援に反対する政治家はいないはずだ。問題点を洗い出し、対案も示す。そんな建設的な議論がなければ、政治は若い世代に見捨てられよう。

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暴力団―市民への無法許されぬ

 見せつけや脅しの域をとうに超え、まさに異常事態である。断じて許すことはできない。

 福岡県中間市で先日、建設会社社長が腹などを撃たれて重傷を負った。福岡県内で昨年おきた発砲事件は18件にのぼり、全国最悪だ。このうち建設会社や関係者が狙われたのは9件。会社事務所で社員が撃たれたり、役員が自宅前で撃たれて死亡したりしている。

 企業のトップにとどまらず、だれが狙われるかわからない状況といえる。

 背景には、全国に先駆けて2年前にできた福岡県暴力団排除条例があると県警はみる。

 条例は企業や市民に暴力団とつきあわず、利益を提供しないよう求めた。罰則もある。今月からは公共工事だけでなく、民間の工事でも暴力団から不当な要求があったら県に届けるよう強化された条例になった。

 けれども、暴力団は依然として住民に脅威を与えている。県警は昨年の18件の発砲事件の大半を暴力団の犯行とみている。そのうち、容疑者を逮捕できたのは2件にとどまる。

 一連の攻撃は、不法な利益を手放したくない暴力団が、市民社会に刃を向けているのかもしれない。だとすればなおさら、警察は市民を守る務めがある。これ以上、危害を加えさせてはならない。

 警察庁によると、全国の暴力団の構成員と準構成員はあわせて8万人前後だ。20年前に暴力団対策法ができたが、それからあまり減っていない。

 この法律の改正が、この国会で審議される予定だ。

 福岡県の市長会は、市民を攻撃した暴力団の事務所の使用を禁止できる改正を求めている。今の法律は組同士が抗争したときの決まりしかなく、現状にあわない。

 各地で、住民が組事務所の使用差し止めを求める訴訟をおこし効果をあげているが、負担も大きい。警察庁は、官民でつくる暴力追放運動推進センターが住民のかわりに訴訟をおこせる改正案を用意している。

 暴力団を減らすために、さまざまな知恵をしぼることが必要だ。同時に、法律の作り方次第で、尊重されるべき表現や団体をつくる自由が制約されてはならない。それを心配する人たちもいる。皆が納得できる中身になるよう議論したい。

 警察は住民や自治体、企業との連携をさらに強め、暴力団を封じ込めるとともに、違法な行為を割にあわなくさせる。そんな暴力団排除への決意を新たにしたい。

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