清武　シリア戦欠場　緊急帰国　Ｕ−２３代表　五輪最終予選ピンチ

　【ドーハ松岡祐司】ニッポンに激震が走った。Ｕ−２３日本代表のＭＦ清武弘嗣（２２）＝Ｃ大阪＝が左脚の故障のため、ロンドン五輪アジア最終予選・シリア戦（５日・アンマン）を欠場することが決まった。１日夕、ドーハ市内の病院で精密検査を受け、「左ふくらはぎの肉離れ」と診断された。清武自身はチーム帯同を強く希望したが、日本協会とＣ大阪が協議の結果、３日に帰国することが決定。代替招集はしない。天王山に絶対エースを欠き、五輪ロードに暗雲が立ち込めた。

　まさかの悲報、よもやの緊急事態…。清武は無念そうに唇をかみ、神妙に言葉を紡いだ。

　「自分はこの試合にかけていた。ずっと残ってやりたかった。この試合を戦えないことが本当に悔しい。いまは、チームを心から応援するだけです」

　原博実技術委員長によると、１月３１日の練習試合・イラク戦の前半３５分ごろ、右足でパスを出した際に立ち足の左足が粘土質のピッチに滑って左ふくらはぎを負傷し、交代を余儀なくされた。翌１日夕、ドーハ市内の病院で磁気共鳴画像装置（ＭＲＩ）による検査を受け、患部の肉離れが判明した。故障は軽度ではあるもののシリア戦の出場は不可能と判断され、Ｃ大阪の要望で緊急帰国が決まった。

　五輪イヤーの幕開けとともに、清武にはなぜか“災難”ばかりがまとわりついた。先月１４日夜に発熱し、グアム合宿への合流が大幅に遅れた。ドーハ合宿へ出発する２５日にはアレルギー性のじんましんのため練習を欠席。そして、今度は想定外の故障…。清武は「いろいろあり過ぎて戸惑っていた。関さん（関塚監督）にも、チームメートにも迷惑をかけてしまって、申し訳ない気持ちでいっぱい」と言葉を絞り出した。

　ただ、チームメートは頼もしい。予期せぬ緊急局面に、清武と同部屋だったＭＦ東は「勝つことが一番」と言えば、ＭＦ斎藤は「キヨくんは大きな存在だけど、依存しているわけじゃない」と無問題を強調。ＧＫ権田は「残った２０人でしっかりやるべき」と言った。

　最重要命題はシリア戦の勝利、そして五輪王手。そこに、「清武のためにも−」という合言葉が加わった。