新球団の初代監督が、キャンプ2日目で離脱した。雨のため練習を午後1時30分に切り上げ、同40分に宿舎へ戻った中畑監督。もともと風邪の症状があり、微熱も感じていたため宿舎で医師の往診を受けた。
午後4時30分に出た診察結果は、インフルエンザA型。3日から最低2日間、宿舎での“隔離”が決まった。
「やっちゃったよ。俺は元気なつもりだけど、選手やコーチ、ファン、報道陣のみなさんにうつしたら大変なことになるので、少しばかり静養することにしました。キャンプ序盤でよかった、と思うしかない。勇気ある撤退だと思ってくれればうれしいな」
キャンプ前の1月下旬から複数の球団職員がインフルエンザにかかり、沖縄入りした1月31日の夜にはブルペン捕手、1日夜にはスコアラーの感染を確認。選手らの検査は行わない予定だが、球団は感染拡大を防ぐため、3日からはマスクの着用を徹底、治療薬タミフルも用意した。
オフの話題を独占し続け、キャンプインした1日も12球団一の注目を集めた中畑監督。縁起でもない“スピード休養”となってしまったが、熱い心に一点の曇りもない。
午後9時に会見した楠本広報部長は「監督は自室で夕食もとり、『おかわり!』と言うなどピンピンしています」と現状を説明。「熱が下がっても2日間ほど人にうつる可能性があるので、医師に相談しながら様子をみます」と早期復帰を示唆した。
そして中畑監督も、宿舎がキャンプ施設に隣接している点をいかし、自室バルコニーから練習を視察するつもりだという。「数日間の練習は、全く心配していません。私はもう一回パワーを蓄積してグラウンドに戻りますので、また応援しにきてください」と、広報を通じて出したコメントも前向きだ。
2日の練習では、来訪した巨人の村田善則、森中聖雄両スコアラー陣をブルペンのネット裏に招待。他球団関係者の入場を規制するエリアだったため、広報や球団スコアラーからたしなめられる一幕もあった。
それでも「怒られちゃったよ。でも注目されてナンボ、ブルペンの後ろはもう無理だけれど、反省はしてません! どんどんきてもらって、一緒に盛り上げてほしい」と元気いっぱいだった中畑監督。ファンやマスコミのみならず、他球団まで巻き込んで球界を活性化しようとする熱い思いは、現場にいなくても、必ずチームに伝わるはずだ。 (山下千穂)
(紙面から)