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きょうの社説 2012年2月3日
◎今春の警察署再編 地域密着の取り組み推進を
4月の石川県警の警察署再編に向けて、関係各署の体制や業務内容などが固まった。穴
水、能登両署をそれぞれ統合する輪島、珠洲両署で専任の課長を新設し、鶴来署を含めて廃止される3署の庁舎でパトロールと運転免許証更新などの交通関係の業務などを継続する。警察署の機能強化と地元からの要望が多い住民サービスの維持を図ろうというものである。警察署再編は1954年の県警発足以降初めてで、ことしは15署から12署体制に移 行する節目の年となる。再編の狙いは、パトロールや当直態勢の強化、空き交番の解消などによって治安の向上につなげるもので、そのための防犯や交通安全、災害対策などは日ごろからの地域との連携が欠かせない。今後、県警は再編の周知を図るが、地域との関係を強める取り組みも推進して、再編の成果が十分に上がるようにしてもらいたい。 警察署再編によって、統合先の輪島、珠洲、白山の3署は人員が拡充され、輪島、珠洲 両署には新たに警務、交通、警備の各課に専任の課長が設けられる。廃止される3署の庁舎には警部級の庁舎所長(仮称)が配置されることになった。 県内の刑法犯認知件数は減少傾向にあるが、凶悪犯罪や重大な未解決事件もあって、「 体感治安」の向上を実感するのは難しいといえる。交通事故の一層の抑止も必要である。パトロールの強化やいざという時に交番に警官がいるという確かな安心感を持てるように、新体制の陣容を生かすきめ細かい対応が求められている。 犯罪や事故抑止に向けて、警察と地域との連携強化は重要である。地元住民、ボランテ ィア、行政機関との合同パトロールや防犯教育などの積極的な活動を通じて、住民たちの地域社会を守ろうという機運も高まる。再編の該当署だけでなく県内各署も地域との連携の在り方を見直してほしい。 昨年の東日本大震災の際には、警察の活動は避難誘導や救助救出、交通網の確保など多 岐にわたった。地域とのつながりは緊急時の迅速な活動にも役立つ。
◎ハローワーク改善勧告 地方移管に本腰入れたい
公共職業安定所(ハローワーク)の職業紹介業務について総務省が調査したところ、求
職者の相談内容の多くが記録されていなかったため、厚生労働省に改善を勧告した。景気低迷による求職者の増加が大きな理由とされるが、ハローワークを通した就職率が30%前後にとどまっている現状は、職業紹介機能の抜本的強化を迫っているともいえ、その方策として、ハローワーク業務の地方移管に真剣に取り組むよう、あらためて求めておきたい。総務省は、2010年度の行政評価で低就職率の一因である「雇用のミスマッチ」解消 を課題に挙げ、ハローワークの機能強化の観点から、職業紹介業務の実施状況を抽出調査した。それによると、1万件余の相談のうち約7割は、相談内容をコンピューターシステムに入力する作業がなされていなかった。希望職種と異なる職業訓練を受けさせ、就職にもつながらなかった例もあったという。 記録をしなかった理由についてハローワーク側は、順番待ちの多くの相談者を待たせる わけにいかない、などと説明しているというが、親身な応対に欠けると批判されても仕方あるまい。 厚労省によると、ハローワークで職業紹介に当たる職員の7割ほどは非常勤職員である 。正規職員が減少する一方、不況で求職者が増加している現状から、職員の相談体制の強化と待遇の改善を求める声も聞かれるが、職業訓練施設との連携強化なども含め、公共の職業紹介事業のあり方を抜本的に見直すときではないか。 地方分権改革の一環として、ハローワーク業務の地方移管を求めている全国知事会など は、地方移管の利点として、就職相談から職業訓練、職業紹介まで一体的に行えることなどを強調している。生活保護受給者の就業指導や学校、企業との連携も自治体の方がやりやすく、求職者の利便性と職業紹介の実効性が高まることは間違いない。政府の地域主権戦略会議は、全国2カ所の特区でハローワーク業務の地方移管を試行する方針を示しているが、さらに踏み込んだ取り組みを望みたい。
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