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人を知る 先輩社員紹介
2004年入社。入社後は、創薬化学研究所にて、医薬品候補化合物のデザインと合成に携わる。学生時代とは扱う対象は違うものの、これまでの経験を使って行う“ものづくり”に魅入られ、日々新薬の“たね”を探して研究を続けている。
大学院で研究していた合成化学の知識を生かせる仕事として、協和発酵キリン入社を 決めました。創薬化学研究所で私が担当している仕事は、医薬品の候補となる化合物を見つけること。すなわち“自信を持って人に投与できる化合物”を生み出すことを目指し、日々探索をしています。病気に作用する化合物を見つけるため、過去の文献や実験結果から、現代の医療の現場が求めている薬の“たね”を探し出し、その化合物の問題点を洗い直す。そして問題を解決に向けて化合物をデザインしていきます。こうして作っていく化合物が実際の薬になる可能性は、0.01%にも満たないとも言われています。しかし、そのとき対象としていた疾患を治療すると言う目的に適さなかった化合物が将来別な病気に効果を示す可能性があるかもしれません。私たちはそんな原石を磨き、臨床試験を担当するチームにバトンを渡し、その原石が薬という宝石になる。それを目指した研究を重ねています。
仕事を始めたばかりのころは、思い通りの化合物を作れず、悔しい思いをしたこともありました。私たちの仕事は、すでに世の中にあるものを作るのでは意味がないのです。いい結果を生む新しい化合物をデザインすること、そしてその作り方までも自分たちで考えていきます。ちょっとした工夫で、今までの厳しい難局を乗り切る化合物ができあがることも。化合物という“ものづくり”の方法は多種多様。研究者の個性やセンスも現れるので、腕の見せ所でもあります。こうして極僅かな可能性に向かい、より正しく確かなものを生み出したい。失敗してしまったデータでも、それは“失敗した”という事実を示し、その理由を解明するための大切な記録になります。それらが積み重なり、成功へと向かっていくのです。
最近、これまで取り組んできた研究が、やっと薬というカタチに一歩近づき、臨床試験にまでたどり着きました。どんな化合物もすんなりデザインされたことはありません。期限ギリギリ、最後の一日まで、チーム一丸となって諦めずにテーマを追い続けてきた結果だと思います。臨床までこぎ着けたと知らされたときは、思わずガッツポーズが出るくらい嬉しかったですね。この成功体験が、毎日研究を続けるモチベーションになっています。
自分たちが見つけた化合物が、いずれ患者さんの身体に入り、病気を改善する手助けになる。日々合成する化合物の中から、人類にとって本当に大切な薬が生まれるかもしれないと思うと、より安全で効果的なものを作っていこうと気が引き締まります。この世で一番最初に新薬の原石誕生の可能性に接することができるのが、私たちの行う『研究』です。このコンセプトで研究を続ければ、必ず薬になるという信念を持ち、体の中にある疾患という鍵穴に、しっかりはまる鍵を一つでも多く作っていきたいです。
入社7年目を迎える今、そろそろ私も後輩を引っ張っていく立場になりつつあります。私が新人だったころ、先輩たちは過去の豊富な経験から的確なアドバイスをしてくれ、手を差し伸べてくれました。私もチームをきっちりまとめ、頼れる先輩でありたいです。メンバーみんなが本気でぶつかり合い、議論し合いながら、化合物合成研究としての実力を磨き続けていきたいと思います。