北朝鮮は、韓国政府に対して、キム・ジョンイル総書記の死去に伴う弔問団の派遣を制限したことを謝罪するかや、アメリカとの合同軍事演習を中止するかどうかなど、9つの項目について回答を求める「公開質問状」を発表し、イ・ミョンバク政権への揺さぶりを強めています。
北朝鮮の国防委員会は、2日、国営メディアを通じて韓国政府への「公開質問状」を発表しました。この中で北朝鮮は、キム総書記の死去に伴う弔問団の派遣を制限したことに対して謝罪するのかや、今月末から予定されているアメリカとの合同軍事演習を全面的に中止するか、それに、おととしの哨戒艦沈没事件とヨンピョン島砲撃を巡ってこれ以上非難しないと約束するかなど、9項目について明確に回答するよう求めています。ことしに入ってから、韓国政府は、哨戒艦沈没事件などへの謝罪があることを南北対話の前提条件とはしないとするなど、より柔軟な姿勢で北朝鮮と向き合う方針を示しています。北朝鮮指導部としては、そうした韓国側の変化に乗じて「公開質問状」を発表することで、4月の総選挙に向けて、イ・ミョンバク政権への揺さぶりを強めるねらいがあるとみられます。
この「公開質問状」について、北朝鮮との関係を担当する韓国統一省の当局者は「南北関係の発展にとって重要な時期に、北が無理な主張を通そうとすることは遺憾で、いちいち対応する必要はないと考える」と批判しました。そのうえで「北がこれ以上、民族や国際社会の期待を裏切ることなく、南北の対話再開に向けた努力に誠意を持って対応することを求めたい」と述べ、より柔軟な姿勢で南北対話を進めようという韓国の姿勢に応えるよう呼びかけました。
北朝鮮が韓国政府に対して「公開質問状」を発表したことに関連して、アメリカ国務省で東アジア政策を担当するキャンベル次官補は、訪問先のベトナムで記者団の質問に答えました。この中で、キャンベル次官補は「北朝鮮が国際社会とのよりよい関係を求めるのであれば、まず、韓国との間で良好な関係を構築する必要があるということは、重ねて伝えている。北朝鮮と韓国が緊密に協議をして、緊張を高めることがないよう望んでいる」と述べ、北朝鮮と韓国の双方に、冷静な対応を呼びかけました。