【北京・成沢健一】日本政府が尖閣諸島周辺を含む離島に名称をつける動きを見せたところ、中国共産党機関紙「人民日報」が尖閣諸島を「核心的利益」と位置づけて批判し、関係者の臆測を呼んでいる。中国政府が尖閣諸島について公式に「核心的利益」と表明したことは過去になく、政府系メディアでも異例の表現といえる。
「核心的利益」は安全保障上、譲ることのできない国家利益で、台湾やチベットなどを指すとされる。1月17日の人民日報は論評記事の中で、尖閣諸島周辺の離島に対する命名の動きを挙げ、「中国の核心的利益を公然と損なう振る舞いだ」と日本を批判した。中国の政府系メディアが、今回のように直接的に尖閣諸島を「核心的利益」と位置づけたのは初めてとみられる。一方、中国外務省の劉為民報道局参事官は1月30日、命名の動きについて「日本側に厳正に申し入れた」とする談話を発表したが、「核心的利益」との表現は使わなかった。