東京証券取引所は、システムトラブルで一部の銘柄の売買ができなくなった問題で、2日夕方、記者会見し、陳謝したうえで、原因について株価などの情報を配信するサーバーに不具合が生じ、バックアップのための予備のサーバーへの切り替えもできていなかったことを明らかにしました。
東京証券取引所では、2日朝、「アローヘッド」と呼ばれる取り引きシステムの一部にトラブルが生じ、一部の銘柄の株価や注文状況などの情報が配信できなくなって、午前中、全体の10%近くに当たる241の銘柄の売買を停止しました。この問題で、東証でシステムを担当する鈴木義伯専務らが、2日夕方、記者会見し、「投資家など関係者に迷惑をかけ、おわびしたい」と述べて陳謝しました。そのうえで、原因については、2日未明、株価や注文状況などの情報を配信するための8台のサーバーのうち1台に不具合が生じ、東証は自動的にバックアップ用の予備のサーバーに切り替わったと判断していましたが、実際には切り替わっていなかったことを明らかにしました。このため、東証は取り引きが始まるおよそ1時間半前の午前7時40分ごろまでトラブルの把握が遅れたとしています。東証の鈴木専務は、「なぜ予備の装置への切り替えが行われなかったのかは現段階で分かっていない。さらなる原因究明と再発防止に取り組みたい」と述べる一方、システムトラブルの責任については、「原因が明らかになった時点で考えたい」と述べました。
かつては世界トップに君臨していた東証は、国内市場の取り引き低迷で、国際的な地位の低下が進んでいます。こうした状況を打開するため、東証は去年11月、大証=大阪証券取引所との経営統合を発表。統合によって浮いたコストをシステムの増強に充てるなどして、再び国際的な存在感を高めようと来年1月の統合に向けた作業を本格化させていました。そのさなかに起きた今回のシステムトラブルは、市場からの信頼を失いかねないものです。世界の取引所は、コンピューターを使った大量で高速の売買注文にも対応できるようシステムの増強を進めており、その信頼性は今や取引所にとって、最重要のテーマになっています。東証は国際的な競争力を高めるうえでもトラブルの原因の究明とともに、確実な再発防止策を実行して投資家の信頼を回復することが急務になっています。