震災がれき、山田町から10トン搬入 島田市試験焼却(2/ 2 07:46)

 東日本大震災で被災した岩手県山田、大槌両町のがれき(災害廃棄物)受け入れ方針を示している桜井勝郎島田市長は1日、静岡、岩手両県と交わした試験溶融(焼却)に関する覚書の内容を発表した。対象は山田町で発生した柱・角材の木材チップ約10トンで、放射性物質濃度が1キログラム当たり100ベクレル以下に限定する。市は今月中の焼却を目指している。
 大槌町のがれきはチップ化されていないため、今回の試験焼却には含んでいないという。市や県によると、山田町のがれきは密閉型コンテナに積み込み、トラックでJR貨物の盛岡貨物ターミナル駅(盛岡市)まで運搬。静岡貨物駅(静岡市駿河区)まで鉄道で運び、再びトラックで島田市伊太のごみ処理施設「田代環境プラザ」に搬入する。
 搬出から焼却まで7回にわたって放射性物質濃度や空間線量率などを測定し、焼却灰は一般市民に公開する。3週間ほどかかる排ガスなどの検査結果を踏まえ、市として受け入れを最終判断する。
 試験焼却のスケジュールなどについては、伊太区自治会の役員や同プラザ連絡協議会委員に説明した上で、3日に発表する。
 桜井市長は「東北を助けてあげたい気持ちだけ」とあらためて強調。試験焼却や最終処分のコストは市が負担する考えを示した。市によると、同施設の一般ごみの処理費用は1トン当たり2万円という。
 さらに、市自治会長連合会が24〜26日に山田町や大槌町などで災害廃棄物や処理施設を視察し、市長も同行するとした。

施設地元から抗議文 合意ないまま試験焼却を表明
 桜井勝郎島田市長は1日の記者会見で、震災がれきの試験焼却の実施をめぐり、焼却施設がある伊太区自治会から抗議文が届いたことを明らかにした。
 桜井市長は、地元の意向を受けた上で判断するとしていたが、「市の責任で試験焼却をしたい」と表明。同自治会は、合意を得ていないと抗議文を出した。
 桜井市長は会見で「ご心労をお掛けしたことにおわびしたい」とした上で、「先延ばしはできない。批判を受けても前へ進むしかない」と述べた。

島田市における災害廃棄物の試験焼却の覚書
【対象となる災害廃棄物】
 岩手県山田町で発生した災害廃棄物のうち柱材や角材をチップ化した約10トン。搬出時の放射能濃度が1キログラム当たり100ベクレル以下に限定
【災害廃棄物の運搬】
 山田町から盛岡貨物ターミナル駅までは道路貨物運送、静岡貨物駅までは鉄道貨物運送、島田市までは道路貨物運送。密閉型コンテナに積み込む
【受け入れの検査】
1 災害廃棄物が山田町の仮置き場に保管されている時
(1)放射性物質濃度
(2)空間線量率
2 山田町の仮置き場でコンテナに積み込む時
(3)遮蔽(しゃへい)線量率
(4)コンテナ積み込み後の空間線量率
3 静岡貨物駅でコンテナを積み替える時
(5)コンテナの空間線量率
4 島田市の処理施設で処理する時
放射性物質濃度((6)焼却灰(7)排ガス)
 ※契約期間や金額等の具体的な手続きは、岩手県と静岡県および静岡県と島田市との間で締結する委託契約の中で決定する


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