桜井龍子裁判長は「著名人らの氏名や肖像は、顧客を引きつけて商品の販売を促進する場合があり、これを独占的に利用できる権利はパブリシティー権として保護できる」との初判断を示した。最高裁がパブリシティー権の位置づけを明確にし、侵害の有無の判断基準も示したことで、出版物やインターネット上での無断使用に対する警鐘となりそうだ。
今回のケースは侵害に当たらないと判断し、請求棄却の1、2審判決を支持して上告を棄却。原告側の敗訴が確定した。
問題となったのは、週刊誌「女性自身」2007年2月27日号の記事で、「UFO」など5曲の振り付けを利用したダイエット法を紹介し、同社側が過去に撮影したステージ写真など14枚を掲載した。提訴したピンク・レディー側は「実質的なグラビア記事で、ピンク・レディーに夢中になった世代を引きつけて利益を得ようとした」と主張していた。
同小法廷は、パブリシティー権の侵害は許されないとする一方、「著名人は、肖像などを時事報道、論説、創作物など正当な表現行為に使用されることは受け入れなければならない場合もある」と指摘。その上で、〈1〉写真そのものを商品として使用〈2〉もっぱら顧客を引きつける力を利用する目的で使用――などの場合は侵害とみなせるという判断基準を示した。
同誌の記事については、白黒の小さな写真を、ダイエット法の解説記事を補足する目的で使用しており、もっぱらピンク・レディーの人気を利用したとは言えないと判断した。