任天堂が試練の時を迎えている。1月27日の決算説明会で岩田聡社長は、2012年3月期は6600億円の売上高に対し、連結営業損益が450億円の赤字になりそうだと明らかにした。携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の販売不振と、据え置き型ゲーム機「Wii」の売り上げ鈍化が大きな原因だ。
ゲーム機のハードが売れる“寿命”は5年前後とされるが、任天堂のゲーム機はちょうど切り替え期を迎えている。過去の経験から、端末の切り替え失敗はその後の数年の苦戦を意味する。スマートフォンやタブレットといった新たな競合相手も台頭するなか、任天堂はこの危機を乗り切れるだろうか。
■切り替えの失敗を避けるための値下げ戦略
任天堂は96年、「スーパーファミコン」から「ニンテンドー64」への切り替えに失敗。それから10年にわたって、ソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション」に圧倒される苦しい時期を味わった。
それを覆したのが04年に発売した、タッチコントローラーを搭載した携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」と、06年発売のモーションコントローラ「Wiiリモコン」を搭載した「Wii」だった。これらは端末価格を低く抑えて販売したことで「プレイステーション3」や米マイクロソフトの「Xbox360」との競争で優位に立った。さらにDSもWiiも、ハード単体で利益を上げられる価格に設定し、それらで動くソフトを大ヒットさせたことで、高い収益を生み出してきた。
その路線を踏襲し、価格を2万5000円に設定した3DSが離陸できなかったことは、近年の任天堂にとって最大の失敗といえるものだった。過去に立ち上げの失敗を引きずったという苦い経験から、11年8月には3DSの価格を1万5000円に引き下げ、ハード販売では赤字となっても端末を多く普及させるという戦略をとった。
この方策で11年に日本国内で400万台、世界全体では1200万台近い台数を売ったものの、欧米圏では市場規模に見合うほどの伸びを生み出せなかった。欧米圏での売り上げが8割を占める任天堂にとって、ここでの苦戦はそのまま業績に直結する。
決算発表で驚かされたのは、11年度通期の3DSの販売数量予測が、値下げにもかかわらず1600万台から1400万台へと12.5%も下方修正されていたことだ。日本市場よりもそれぞれ2~2.5倍の市場規模がある欧米市場には、合計で1200万台以上の販売を期待されていたのだろう。岩田社長は説明会で「日本とは異なり、9月と10月に勢いを維持できず、活性の高い状態で年末商戦に入れなかった」と述べている。
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