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沖縄防衛局:有権者リスト作成 局長「違法の可能性自覚」 投票呼び掛け、過去の局長も

 ◇政府、更迭含め調整

 田中直紀防衛相は1日、沖縄防衛局が沖縄県宜野湾市長選(12日投開票)の「有権者リスト」を作成した問題で、同局職員に市長選への投票を呼びかける講話をした真部朗(まなべろう)局長について、更迭も含めて厳正処分する方向で調整に入った。真部氏は1日、抗議に訪れた国会議員らに対し、国家公務員法などに抵触する可能性を「自覚している」と語った。過去の選挙でも、沖縄防衛局による投票呼びかけが組織的に行われていた可能性が出ている。

 田中防衛相は1日夜、防衛省で政務三役会議を開き、対応を協議した。しかし、真部氏が投票呼びかけの講話を「名護の選挙でもやった」と明らかにしたことなどを考慮して、引き続き調査することで一致し、この日の処分決定は見送った。防衛省は田中氏をトップに政務三役や幹部らでつくる調査チームを発足させ、5日の宜野湾市長選告示までに真部氏に関する調査を終える方針を確認した。

 防衛省関係者によると、過去の沖縄県知事選でも、真部氏とは別の局長が幹部職員に投票を呼びかけたことがあったという。知事選は米軍基地問題が最大の争点で、当時の局長が幹部職員を集めた会議「局議」で「投票に行くように。職員にも言ってほしい」という趣旨の話があった。ただ、誰に投票するかについては一切話がなく、メールを使ったりリストを作成したりもしなかったという。

 関係者は「選挙で職員に投票を呼びかけたことは防衛省も知っているはずだ」と話し、組織的に行われていた可能性を示唆した。

 また沖縄防衛局関係者によると、10年11月の沖縄県知事選の際は、当時も局長を務めていた真部氏が職員らに対し「重要な選挙なので選挙権を放棄するようなことはしてほしくない」との趣旨の話をしたことがあったという。出席した関係者は、局長が「選挙に行け」ということが職員らにどう受け止められたかについて「それぞれの立場や感受性によると思う」と話した。

 一方、真部氏は1日、社民党の山内徳信参院議員ら約20人に対し、講話では、米軍普天間飛行場(宜野湾市)を同県名護市辺野古へ移設する政府方針について有権者である親族に説明できるように備えるよう求める趣旨の発言をしていたことや、過去の他の選挙でも講話などを開いてきたことを明らかにした。

 真部氏は同日夜、沖縄県嘉手納町の防衛局の玄関前で記者団の取材に応じて、講話などについて前任者からの引き継ぎの有無などを問われると、「引き継ぎは受けていないし、慣例になっていたとの認識もない」と語った。【井本義親、朝日弘行】

毎日新聞 2012年2月2日 東京朝刊

 

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