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モンゴル投資詐欺:詐欺容疑で元社長ら6人逮捕 15億円集金か

 架空の投資話でモンゴルでの事業への出資を募ったとして、警視庁生活経済課などは11日、いずれも投資顧問会社元社長で、「グローバルアイズ」(東京都港区、破産)の河原正佳(52)▽「ニューアジアアセットマネジメント」(同区)の長田勉(43)両容疑者ら計6人を詐欺容疑で逮捕した。同課は、両社が08年12月以降、北海道を中心に高齢者ら約500人から約15億円を集めたとみて追及する。

 逮捕容疑は、モンゴルで鉱物を掘削する現地法人に重機をリースするとして設立した「モンゴルファンド」について09年4~7月、「年利11~18%を配当する。高額なリース契約で高配当が期待できる」と出資を募り、神奈川県内の女性ら3人から現金約1800万円を詐取したとしている。河原容疑者は「だますつもりはなかった」と供述しているという。役員の兼務が多く、両社はほぼ一体だったとみられている。

他に9ファンド計97億円集める

 また両社は、国内不動産投資などの名目で、「モンゴルファンド」以外に9のファンドを作り、総額約97億円を集めていたことが捜査関係者への取材で分かった。うち約5億円は、中心人物として事情聴取を受け北海道小樽市で10年11月に自殺したグ社の創業者の男(当時53歳)に流れていた。

 警視庁は男が事件を主導したとみて、容疑者死亡のまま、詐欺容疑で近く書類送検する。【伊澤拓也】

 ◇道に拠点 被害者「罪償って」

 グ社は札幌市に営業拠点を置き、被害者も北海道に集中した。被害対策弁護団によると、被害者の手元に戻った現金は出資額のわずか1・1%。「罪を償ってもらうまでは終わらない」。大金を失った被害者は怒りや悲しみを抱えたままだ。

 「孫の学費のために貯金していたお金だったのに……」。札幌市内の70代の女性は、今も自責の念が消えない。09年4月ごろ、自宅を訪れた同社の男性社員から「モンゴルファンド」の投資を勧誘された。

 「口べたで一生懸命なのでかわいそうになってしまった」。同情のつもりで数十万円の投資を決めた。男性はその後何度も訪れ、不動産投資などを次々と勧誘。出資額は9月までに約400万円まで膨らんだ。

 破綻を知ったのは10年3月。男性が真っ青な顔つきで訪ねてきて「倒産したみたい」と告げた。当初は「社員はどうなるのだろう」と心配したが、預けた資金が戻らないと知り悔しさが募った。「最初はきちんと配当も出ていたので信用してしまった。本当に情けない」とため息をつく。

 弁護団によると、同社が集めた資金は一部を除きほとんど運用された形跡がなかったという。荻野一郎弁護士(札幌弁護士会)は「勧誘して金融商品を売り続けないと配当できない仕組みだった」と指摘する。

 同社は警視庁の家宅捜索を受け、10年12月に東京地裁の破産開始決定が出た。巨額の資金を集めたとされるが、破産手続き終了時の残高は1億円にも満たなかった。

 約1000万円を投資した道内の50代の男性会社員は「家宅捜索から1年半以上たつのに、被害者に何の説明もない。すぐに摘発していればもう少し資産が残っていたかもしれない」と憤る。【金子淳】

毎日新聞 2012年1月12日 北海道朝刊

 

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