中部電力は1日、大雪や寒さで暖房需要が増えた東北電力に対し、午後1〜5時に最大30万キロワットの電力を緊急的に融通した。中電は同日昼間、関西電力に対する融通も最大で従来の40万キロワットから60万キロワットに拡大。九州電力にもこれまで通り最大40万キロワットを送った。3社への融通量は時間帯によって異なるが、中電からの送電は最大110万キロワットに達した。中電が周波数の異なる東日本の電力会社に融通したのは、この冬初めて。
中電管内でも1日、寒さによる暖房需要の増加で電力需要のピークが午後5時台に2264万キロワットとなり、今冬最大を更新した。ただ、3社に送電した状態でも、電力使用率は90%と安定供給の範囲に収まった。
東北電は女川など2カ所の原発が運転停止しているほか、東日本大震災や豪雨の影響などで火力や水力の供給力も落ち込んでいる。1日朝の時点で、昼間の暖房需要が増加し、ピーク時の電力使用率が95%前後まで高まると予想。他の電力会社に融通を要請したところ、中電が応じた。
中電からの電力は、東京電力新信濃変電所(長野県朝日村)で周波数を60ヘルツから50ヘルツに変換し、東電管内の送電線を通じて東北電に送られた。中電は震災直後にも東北電に融通した実績がある。
中電は浜岡原発(静岡県御前崎市)を全面停止した影響で平日昼間の供給余力は十分とはいえない状態だが、原発への依存度が高い関電や九電も含めた3社は、厳しい寒さに対して中電以上に供給不安を募らせている。中電首脳は「中部地方で節約してもらった電気を、電力需給が厳しい地域の家庭や企業のために役立てたい」と話す。
(中日新聞)