沖縄の宜野湾市長選挙に向け、防衛省・沖縄防衛局長が、職員に講話を行っていた問題で、沖縄防衛局では、以前から選挙や基地を巡る住民投票の際に、職員への投票の呼びかけや親族の調査が組織的に行われていたことが、複数の元幹部や職員への取材で分かりました。
この問題で、沖縄防衛局の真部局長は、今月12日に行われる宜野湾市長選挙に向けて職員に講話を行い、防衛局はあらかじめ市内に本人や親族が住む職員を調べていたことが、防衛省の調査で分かっています。NHKが複数の元幹部や職員を取材したところ、沖縄防衛局では、これより前の選挙や基地を巡る住民投票の際に、職員への投票の呼びかけなどが組織的に行われていたことが分かりました。このうち、沖縄防衛局の前身の那覇防衛施設局の元幹部によりますと、15年前の平成9年、名護市で、普天間基地の移設を巡って住民投票が行われた際には、今回と同じように市内に住む職員の親族の調査が行われたということです。おととし行われた沖縄県知事選挙の際にも、沖縄防衛局の局長と幹部が参加する「局議」と呼ばれる会議を経て、全職員に「大事な選挙なので棄権しないように」という方針が伝えられたということです。また、平成18年の知事選挙やここ数年の間に行われた国政選挙の際にも、防衛局長名で職員への投票の呼びかけが行われていたと、沖縄防衛局に勤務した複数の元幹部は証言しています。NHKの取材に対し、複数の元幹部は、今回の講話を巡る事情については分からない、としたうえで、「自分が在職していた当時は、候補者の名前を出さなくても、職員に投票に行くよう呼びかけることで、防衛政策に理解のある候補者への投票につながるという考えがあったと思う」と話しています。