東京都立高校の職員会議で教員の挙手や採決を禁じた都教育委員会通知の撤回を求めていた都立三鷹高校の元校長、土肥信雄さん(63)が、定年退職後に非常勤職員として採用されなかったのは都教委の裁量権を逸脱しているとして、都に1850万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(古久保正人裁判長)は30日、請求を棄却した。
職員会議に関する通知については「校長の裁量権を侵害するとも考えられるが、校長が意思決定の権限を行使できる環境を整えるために発出されたもの」と必要性を認めた。
判決は、通知を「教職員の言論の自由の封殺」などとする土肥さんの発言を「短絡的」と指摘。「都教委には広い裁量権があり、『組織への協力・協調の姿勢もみられない』などの不合格理由は不合理ではない」とした。
土肥さんは判決後の記者会見で、「信じられない不当な判決だ」と批判。そのうえで「もう一度高裁で闘いたい」と話した。【野口由紀】
毎日新聞 2012年1月31日 東京朝刊