細野豪志環境・原発事故担当相は31日記者会見し、現在定期検査で運転を停止している原発の中で、運転開始から40年を超えているものについて「再稼働は難しい」との見解を示した。同日閣議決定した原子炉等規制法改正案では、原発の運転期間を原則40年としながら、基準を満たせば延長を可能とする例外規定が設けられ「抜け道」との批判を受けている。発言はこうした状況を受けたものとみられるが、細野氏は原発再稼働の可否を判断する4閣僚の一人でもあり、再稼働に影響しそうだ。
既に40年を超えているのは▽日本原電敦賀原発1号機(福井県)▽関西電力美浜原発1号機(同)▽東京電力福島第1原発1号機(福島県)の3基。事故により廃炉が決まっている福島1号機以外は定期検査中で、やがて再稼働の判断時期を迎える。
政府は再稼働の条件として、想定以上の地震や津波への余裕度を調べる安全評価(ストレステスト)を課している。電力会社のテスト結果を経済産業省原子力安全・保安院が審査し、内閣府原子力安全委員会が確認。野田佳彦首相と藤村修官房長官、枝野幸男経産相、細野担当相の4閣僚が地元合意を前提に判断する仕組みだ。
細野氏は31日の会見で「ストレステストに基づいて再稼働が議論されているが、そういう状況の中で、既に40年を超えているものが再稼働できるということはあり得ないと思う」と話した。
政府が31日閣議決定したのは、原発の運転期間制限や、環境省の外局として発足する「原子力規制庁」設置など、新体制のための「原子力組織制度改革法案」と「原子力安全調査委員会設置法案」の関連2法案。細野氏は会見で、規制庁長官には民間人を登用することや、外国人の専門家をアドバイザーに迎える意向を明らかにした。【藤野基文、江口一】
毎日新聞 2012年2月1日 東京朝刊