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AKB48を卒業し起業「即実行」が夢への近道 アパレル会社社長・川崎希さん

産経新聞 1月28日(土)7時55分配信

AKB48を卒業し起業「即実行」が夢への近道 アパレル会社社長・川崎希さん
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「夢は大きく。売上高100億円を目指します」と語る川崎希さん(宮川浩和撮影)(写真:産経新聞)
【人・生き方】転機。話そう、話しましょう(51)

 国民的アイドルグループとなったAKB48。アパレル会社社長の川崎希さん(24)は平成17年の設立当初からメンバーとして活躍していましたが、今から3年前に「卒業」しました。目指したのは社長。起業の苦労を乗り越え、従業員16人を率いるトップとして新たな飛躍を見据えています。(竹岡伸晃)

 ◆運命を変えたチラシ

 「このオーディション受けてみたら?」

 高校3年生の夏。東京・原宿のヘアサロンで、知り合いの美容師から渡されたチラシが人生を大きく変えることになる。そこには作詞家でプロデューサーの秋元康さん(55)の顔写真とともに、大きく「秋葉原48プロジェクト始動!」と書かれていた。

 当時は、金髪で肌は日焼けサロンで焼いた、いわゆる“ギャル”風の外見。「アイドルなんてとても…。経済や経営に関心があったので、大学に進んで、いずれは貿易会社を起業したいと考えていました」

 背中を押したのは、秋元さんが作詞を手がけた女性アイドルグループ「おニャン子クラブ」世代の母、真奈さん(49)の言葉だった。「秋元さんの名前もあるし信用できるんじゃない? 行ってみたら」

 「受けるだけなら」と、軽い気持ちで事務所で面接を受け、1次選考を通過。カラオケルームなどで歌を練習して臨んだ最終オーディションも、のびのびと歌やダンスを披露して合格を果たす。約8千人の応募者から選ばれた24人の一人として、アイドルの道を歩み始めることになった。

 ◆合間に起業準備

 東京・秋葉原での初公演は平成17年12月に予定されていた。放課後、都内の学校からダンススタジオに直行する日々。時に深夜や未明に及ぶ厳しいレッスンに、「もう辞めたい」と何度もくじけそうになった。

 前田敦子さん(20)、板野友美さん(20)ら今では中心メンバーとして活躍している同期生と励まし合いながら練習を積み重ね、無事初公演を終了。人前で歌う気持ち良さに目覚めた。

 しかし、AKB48の活動に没頭するにつれ、社長になる夢は遠ざかっていった。疲れのため入学試験中に居眠りしてしまい、大学受験には失敗。ファンの期待に全力で応えるため、夢はいったん「棚上げ」した。

 「メンバーは大家族みたいに仲が良かった。テレビ出演の機会も徐々に増え、本当に充実していました」

 アイドルになって3年。20年12月のことだ。コンサート用の衣装を合わせていたとき突然、「アパレルの会社をつくりたい」という気持ちがわき上がってきた。「貿易」でなかったのは、「AKB48でかわいい衣装をたくさん着せてもらったため」だという。「今すぐやりたい。どうしてもやりたい」。社長になる夢は、抑えきれないほどの勢いでふくらんでいった。

 ここからの行動は早い。アパレルブランド立ち上げの日を翌21年3月1日と定め、準備をスタート。起業に関する本を数十冊読み、基本を頭にたたき込んだ。公演の合間を縫って、服のデザイン、工場探し、ホームページ作成なども、一人でこなした。「気付いたら夜が明けていた」こともしばしばだったという。

 「社長業とは両立できない」と、AKB48を卒業することも決めた。ただ、19年大みそかの「第58回NHK紅白歌合戦」に出場するなど人気急上昇中で、周囲は「何も今起業しなくても」と強く引き留めた。

 「やりたいと思ったときにすぐ行動すべきです。気持ちがホットで、苦しくてもぐいぐい前に進めますから。ファッションの流行は移り変わりが速く、ひらめいたデザインはすぐ形にして売る必要がある、とも考えました」

 ◆元手は40万円

 21年2月27日のステージを最後に卒業。翌日の自身のブログには「不安もいっぱいだよ。でも新しいことをはじめる。自分の決めた道を進む。ってことでワクワク感の方が大きいかな(抜粋)」とつづった。

 起業の元手約40万円は貯金をはたいたものだ。自分の力を信じ、親などからの資金援助は受けなかった。

 インターネット販売からスタートした事業は、路面店オープン、ネイルサロン開業と、着実に成長を続けている。「キャンドル販売や飲食店開業、米国進出…。新しい事業を考えるとアドレナリンが出ますね」

 ファンと接することで度胸が付いた。本音で語り合える仲間もできた。ステージ上でスポットライトを浴びた3年間は、「遠回りではなく、社長になるための原点」と考えている。

 ≪Plus≫

 −−「AKB48を卒業しなかったら」と思うことはありますか

 「テレビなどで見て『楽しそう』と思うことはあります。でも卒業を後悔したことはありませんね」

 −−目標とする人は?

 「私は破天荒な生き方をしている人が好き。例えば、モデルのパリス・ヒルトンさんや米ロックバンド、エアロスミスのボーカル、スティーブン・タイラーさんにあこがれます。毎日楽しそうじゃないですか」

 −−結婚願望は?

 「昔は『18歳で』と考えていました。いつかはしたいですね。ただ、子供が生まれても社長の仕事は続けていきたいです」

 −−同世代の若者にアドバイスをお願いします

 「どんな仕事も、ただこなすのではなく目標を持ってやっていくことが大切です。やりたいと思ったら即行動を。失敗しても若いから必ずやり直せますよ」

【プロフィル】川崎希

 かわさき・のぞみ 昭和62年、神奈川県生まれ。平成17年、AKB48第1期メンバー選抜オーディションに合格。19年にはグループでNHK紅白歌合戦出場を果たす。21年2月の公演を最後にAKB48を卒業。同年3月1日にアパレルブランド「ANTIMINSS(アンティミンス)」を立ち上げた。現在、ネット販売に加え、東京・渋谷で1店舗を運営。ほかに、渋谷と新宿でネイルサロン「MARON(マロン)」を計2店舗運営する。会社経営の傍ら芸能活動も続けている。著書に「アイドル社長」(徳間書店)。

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最終更新:1月28日(土)8時9分

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