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【格闘技】

佐藤洋太が本社訪問 世界戦の抱負語る

2012年2月1日 紙面から

東京中日スタッフとともにファイティングポーズを見せる佐藤洋太。右端は金平会長=東京都千代田区内幸町で(武藤健一撮影)

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 ボクシングのWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ(3月27日、東京・後楽園ホール、東京中日スポーツ後援)で王者スリヤン・ソールンビサイ(22)=タイ=に挑戦する同級3位の佐藤洋太(27)=協栄=が31日、東京都千代田区内幸町の東京中日スポーツを訪れた。変則スタイルが売りの佐藤は「ボクシングは頭でするもの。ボクの日々の研究の成果を見てほしい」とアピール。プロ野球の名将ノムさんばりのIDボクシングで世界を狙う。 (聞き手・竹下陽二)

 −3・27の大一番を前に、ズバリ、自分のどこを見てほしい

 佐藤「ボクの売りは変則スタイル。見てて面白いという人もいるけれど、一方でふざけてるだけと不快に思ったり、批判的に見る人もいる。でも、ボクシングはアイデアとイマジネーションのスポーツだと思うんですよ。ボクは一日中、ボクシングのことを考えてるし、ビデオを見るだけでなく、日々の生活からボクシングに結び付けて考えるようにしている。その日々の研究の成果を見てほしい」

 −君のフェイントを駆使したスタイルを「技のデパート」と言う人もいる。金平会長は「イリュージョンボクサー」と表現していた

 「“高学歴パンチ”と呼んでるのは得意技の一つ。こっちの右ボディーに相手はカウンターの左を合わせたくなる。そこを狙って、左のカウンターを合わせる。カウンターに対するカウンター。うちのジムの早大出身のマツザキ君が得意にしてたから、高学歴パンチと呼んでるんですけど、これが結構当たる。あとは“逆重心パンチ”。普通、左に重心を置いたら左のパンチを出す。でも、ボクの場合は左に重心を置いて、左を出すと見せかけて右を出す。これも当たる。これができるのは、日本にはそういないと思いますよ」

 −いやあ、実にイヤらしいね。でも、これ、対戦相手の王者スリヤンに読まれなきゃいいけどね。フェイントのパターンはいくつくらい?

 「10個ぐらいですかね。これだけあれば、十分なんです。試合で1回使うでしょ。相手も学習能力あるから、続けて次の回に使っても引っ掛からないもんなんです。でも、3回ぐらい後で使ったら、また当たるんですよ」

 −プロ野球の名将の一人、野村克也さんが頭を使うID野球で一世を風靡(ふうび)したけど、君は、まさにIDボクサーだね

 「ありがとうございます。そういうカッコいい表現されれば、光栄です(微笑)。ボクシングも頭でやるもんだと思ってます」

 −ノムさんは弱者の戦法を提唱してるけど

 「確かにボクがオーソドックスなボクシングをしても、そんなに勝てないと思います。相手の裏をかかないと」

 −ところで学校の成績は優秀だった?

 「それが、勉強は超ヒドかったです。高校時代は100点満点でほとんどが一けた台。いつも全体のビリから2番目でした。親には、おまえはやればできると言われたんですけど、いくらやってもダメでした。でも、一つのことを突き詰めて考えることは好きでした。で、のめり込んでしまうんです。子供のころから将棋が好きで、理詰めで考えるのが好きでした。と言っても、将棋はそんなに強くはなかったですけど」

 −東北学院大時代はボクシング部に所属したけど、半年で退学した

 「アマチュアは制約が多すぎるんです。ワンツー以外はダメだとか、頭を下げちゃダメだとか、ガッツポーズもダメだとか。で、違反するとすぐに反則負けになっちゃう。ボクの変則スタイルはアマでは良しとされない。だから、もっと、自由にやりたくなったんです。自由にやればもっと強くなれると思ってましたから」

 −まさにプロ向き

 「ボクシングは人間がでるんですよ。遊んでないヤツは固いボクシングしかできないんです。ボクは結構、遊んできましたから。ムフフ…」

 止められない、止まらない。ボクシングについて語り出したら、ノンストップの佐藤。この日大公開した戦術もほんの氷山の一角だろう。裏の裏のそのまた裏、あるいは、裏と見せ掛けて表だったり。佐藤の頭には底なし沼のようなフェイントが展開されているのだろう。イリュージョンボクサーでもIDボクサーでもIQボクサーでもなんでもいいが、当日は、ファンを魅了するような“マジック”を見せてほしいものだ。

 ◆佐藤洋太(さとう・ようた) 1984(昭和59)年4月1日、盛岡市生まれの27歳。171センチ。5歳の時に東京ドームで行われたタイソン−ダグラス戦を見てボクシングに魅了される。小学校3年時、ベルトを巻く自分の絵を描き、世界王者を目指すと作文に書く。中学時代までは基礎体力を付けるためバスケットボール部や陸上部(駅伝)に所属。盛岡南高でボクシング部に入部し、国体3位、インターハイ5位。東北学院大でもボクシング部に入るが、型にはまったアマチュアスタイルが合わずに半年で退学し、協栄ジム入門。プロデビューは2004年。昨年11月に日本スーパーフライ級王座を5度防衛後、世界挑戦を視野に返上。プロ戦績は23勝12KO2敗1分け。現在、1分けを挟み18連勝中。アマ戦績は22勝10敗。右ボクサーファイターでアウトボクシング、インファイトの両方に優れた技巧派ハードパンチャー。

 

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