「東京電力福島第一原発の事故で原発の危険性が明らかになった」として、九州各県などの1700人余りが、九州電力玄海原子力発電所の運転差し止めなどを求める訴えを、佐賀地方裁判所に起こしました。弁護団によりますと、原発を巡って現在行われている訴訟の原告の数としては、最も多いということです。
訴えを起こしたのは、玄海原発がある佐賀県や福岡をはじめ、九州各県など29の都府県の合わせて1704人です。訴えの中で、原告は「東京電力福島第一原発の事故で大量の放射性物質が放出され、市民生活などにも深刻な影響が出て、原発が極めて危険なものであることが明らかになった。玄海原発の操業を続けること自体が、住民の安全に生存する権利を侵害している」と主張して、九州電力と国に対し玄海原発の運転の差し止めを求めています。また、福島第一原発の事故原因が解明されていないなかで、精神的な苦痛を受けたとして、去年3月11日から原告1人に1か月当たり1万円の慰謝料の支払いを求めています。弁護団によりますと、原発を巡って現在行われている訴訟の原告の数としては、最も多いということです。原告団の代表で佐賀大学の長谷川照前学長は、記者会見で、「福島の事故で原発の安全神話が崩れた。国が進めた原発推進の政策を覆したい」と述べました。訴えについて九州電力は「今後、訴状の内容を検討し、適切に対応したい」としています。