人格劣る稼ぎ頭は、出世させるべきか

「手放せない人の条件」有名社長がアドバイス【藤田晋 サイバーエージェント社長兼CEO】

2012年 1月23日 (月)

山田清機=構成 葛西亜理沙=撮影
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以前、カルチュア・コンビニエンス・クラブの増田宗昭社長にお会いする機会があったが、話題はもっぱらオープンしたばかりのTSUTAYA代官山店のことだった。1時間くらい夢中で話していらしたが、そもそも私に向かって代官山店がいかに素晴らしいかを熱弁しても、何の意味もない。

しかし、お話をうかがっていると、増田社長が代官山店に本当に入れ込んでいることがひしひしと伝わってくるのである。自分のアイデアに熱狂している人は、目つきが違う。目つきが違う人の話は、信じていい。

目つきと同時に重要なのが、姿勢や態度である。私は、プレゼンテーションのとき、私のほうばかり向いて話をする社員をあまり評価しない。決裁者ばかり意識して熱弁をふるう人間を、信用できないのである。なぜなら、社長に認められたい、あるいは自分のプライドを守るためプレゼンに勝ちたいといった動機から捻り出されたアイデアに、ロクなものはないからだ。

私が最も重視しているのは、提案者自身が自らのアイデアに熱狂しているかどうかだ。それさえあればビジネスとして成功する可能性は大いにある。反対に、どんなに優れて見えるアイデアでも、提案者がそれに熱狂していないときは、絶対に採用しないことにしている。

人材に絡めて言えば、弊社が求めているのは、自分のアイデアに熱狂することができ、プライドもなにもかなぐり捨てて、その実現に寝食を忘れて没頭できる人材、ということになる。

さて、冒頭の質問に戻ろう。

私の答えはA→C→Bである。私は管理職に登用する際の選択基準を、一にも二にも人格に置いている。もちろん、人格が優れていて実績も高ければ文句はないのだが、人格と実績のどちらを優先するかといえば、圧倒的に人格のほうである。

ネットベンチャー企業である弊社は、前例のまったくない世界でビジネスを展開している。前例のない世界では、斬新で優れた事業アイデアを発想できるかどうかが勝負を分けるため、クリエイティビティーに溢れた社員の存在が不可欠だ。弊社のような企業にとって、上にいい顔をするために部下のアイデアを利用したり、保身のために部下の優れたアイデアを潰したりするモラルに欠けた管理職の存在は、最悪なのである。

特に、実績があって人格の悪い人間、つまりBタイプの社員は絶対管理職に上げないようにしている。なまじ自信を持っているだけに、このタイプの扱いが、最も厄介だからである。

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