国立社会保障・人口問題研究所は30日、2060年の人口が8674万人まで減るとする「日本の将来推計人口」を公表した。10年の1億2806万人に比べ、50年間で4132万人(32.3%)の減。65歳以上の割合は10年の23.0%から、60年には39.9%に達して「超高齢化」が進む。年金、医療保険など社会保障制度改革の行方に影響を与えるとともに、日本経済の活力をさらに奪う懸念が高まりそうだ。
06年の推計で8993万人だった2055年の人口を、今回は9193万人と予測。ただ「スピードは若干緩やかになるが、人口減や高齢化の流れは変わらない」(同研究所)という。人口減は国内市場の縮小に直結してデフレを加速させ、企業の海外進出にも拍車がかかり、国内産業の空洞化を深刻化させかねない。
日本経済の病といえるデフレの根本原因は需要不足だ。企業の潜在的な供給力に対し、実際の需要がどれだけ不足しているかを示す需給ギャップは年間で約15兆円に上る。SMBC日興証券の宮前耕也エコノミストは「人口減はさらなる需要減退につながり、企業の値下げ競争が激化するだろう」と、デフレ脱却が遠のく可能性を指摘する。