グリコ・森永の重要参考人って本当?
 歯科医宅・妹バラバラ殺人に続いて、セブレ妻が夫をバラバラ切断する。正月草々、妙な事件が続いている。早帰りした夫がぐっすり眠ると、美人妻がワインボトルで頭を殴打して殺害する。テレビドラマのようだ。新聞には「生き方が合わず自分のことを否定された。暴行を受けて殺意を抱いた」など動機を書いているが、夫がどうしようもない酒乱だったら、何処にでもありそうな事件でもある。

 それはそれとして、気になるのは「グリコ・森永事件の重要参考人」が突如、浮上した?‥‥という妙なニュースが流れていることだ。
 例えば朝日新聞の記事。「大阪弁護士会所属の弁護士富田康正容疑者(57)=兵庫県宝塚市=が顧客の相続財産約5900万円を着服したとされる事件で、大阪地検特捜部は10日、富田容疑者から現金約1600万円を脅し取ったとして、医療機器販売業を営む月岡靖憲容疑者(53)=同県西宮市=を恐喝容疑で逮捕した。調べでは、月岡容疑者は昨年9~12月、大阪市北区にある富田容疑者の事務所で、富田容疑者の腰や頭を殴るなどして金を要求し、13回にわたって計1620万円を脅し取った疑い。月岡容疑者は暴行したことは認めているが、恐喝容疑については『貸した金を返してもらっただけだ』と否認しているという」

 この記事だけでは単なる恐喝事件だが、この供述の中で気になるのは「貸した金を返してもらった」というクダリだ。暴行傷害罪を認め、カツ上げを否認する。一部の関西のメディアには「富田容疑者は20年近く月岡容疑者に因縁をつけられ、脅し取られた被害総額は10億円」と書いているが、弁護士が10億円もの大金を持っていたのか?

 それどころか、さりげなく「月岡という人物はグリコ森永事件で何度も事情聴取を受けている」と書いているところもあるのだ。(よみうりテレビ)

 グリコ・森永事件?
 食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件。2000年(平成12年)2月13日に時効となった、俗に言う「かい人21面相事件」である。

 1987年3月18日夜、江崎グリコの江崎勝久社長が、兵庫県西宮市の自宅で風呂に入っているところを3人組の男に、全裸のまま誘拐され、身代金10億円と金塊100キログラムをヘリコプターからばら撒けと要求される。江崎社長は3日後、大阪府摂津市の新幹線車両基地近くを流れる、安威川沿いにある治水組合の作業小屋から、自力で抜け出し、保護された。それがグリ森事件の始まりだった。

 その後「かい人21面相」名で「けいさつの あほども え」で始まる脅迫状が新聞社に届き、別の脅迫状が丸大食品、森永製菓、ハウス食品、不二家、駿河屋に次々と送りつけられた。我が国犯罪史上に残る怪事件。日本航空123便墜落事故と同じ日(同事故の犠牲者にハウス食品の浦上郁夫社長もいた)犯人側から「もうゆるしたろ、くいもんの 会社 いびるの もお やめや・・・悪党人生 おもろいで 」との終息宣言が送りつけられ、一連の犯行は停止し、2000年に時効になった。

 この事件の犯人については「北朝鮮の工作員説」「大阪ニセ夜間金庫事件の犯人説」などイロイロあった。が、まったく謎のままである。それが、突然、グリコ・森永事件の重要参考人という噂?

 このニュースの出所は、どうやら大阪地検の幹部らしい。この幹部が「奴は重要参考人だった」と漏らし、一部のメディアがさりげなく報じた。地検幹部は何故、そんな大事なことを喋るのか。誰かに、メ-ッセージを送ろうとしているのか。

 もう一つ、10億円という金額に何かが隠されている。弁護士が持っていた金だったのか、月岡容疑者の金か? 「10億円」はグリコから犯人グループに渡ったと憶測された金額に符号している。全国紙は、そろって「グリコ・森永の重要参考人」には全く触れていないが、サンデー毎日時代、時効寸前の同事件を追いかけた思い出があるので、興味があるのだ。

 11日は今年初めての「たいとう診療所」のリハビリ。久しぶりに2・1キロを徒歩で診療所に行くと、リハビリ前にグタグタになる。リハビリの途中で、居眠りする。

 仕事場に帰って、一眠りしてから「青い空 白い雲」を書く。内容は岩国基地の話。夜、森下のちゃんこ料理「時葉山」で、知人と歓談。「最近の経済部の記者さんは淡白で、期待はずれだ」という厳しい指摘を受ける。脚で稼ぐのではなく、電話で取材を済まそうとする記者が圧倒的に多いらしい。「××の件で社長に会いたい、という申し入れる記者さんは皆無」だという。この10年間で記者気質が変わったということか。

 どうやら、持ち場が掛け持ちで、記者さんに時間的な余裕がないのからだろう。「取材するより、書いている時間が多い」。「スクープを書くより、毎日、発表ものを沢山書くほうが重宝される」。これは記者の責任というより、新聞経営者の責任?

 これは余計のことだが「時葉山」は新大橋通りから、一本奥に入った隠れ家の趣。ちゃんこの味も一流だが、刺身の盛り合わせが絶品だった。(東京都江東区森下4-24-10 TEL03-3634ー8705)


 <何だか分からない今日の名文句>
報道に時効なし


| 牧太郎 | 10:39 | comments (x) | trackback (x) | 編集長ヘッドライン日記 |
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