民主党政権の隠蔽体質が続々と発覚している。福島第1原発事故の放射性物質の拡散予測データを公表せず、会議議事録まで不作成だった菅直人前政権に続き、野田佳彦政権下でも、増税の根拠となる「財政試算」を非公開としたうえ、重要政策を決定する場である政府・民主3役会議の議事録作成を拒否したのだ。民主党はどこを向いて政治をしているのか。
「知らされていれば、違った方向に舵を切った。政府の罪の深さは計り知れない」「重要な会議の議事録がないのは背任行為。国は責任の全容を明らかにすべきだ!」
国会が設置した福島原発事故調査委員会で30日、原発が立地する同県双葉町の井戸川克隆町長は、菅政権の拡散予測データ隠しと、議事録不作成に憤りをあらわにした。
原発事故から10カ月後に発覚した重大問題。政府は27日、関連する10会議の議事録が不作成で、うち「各府省連絡会議」など5会議は要点をまとめた議事概要のみがつくられ、「政府・東京電力統合対策室」などの3会議では概要も未作成だったことを明らかにした。
議事録がなければ、菅政権が危機にどう対応し、どこに問題点があったのかを検証するのは困難になる。このため、「初動対応に失敗した菅政権が意図的に不作成を指示したのではないか。『失政隠し』という国家的犯罪ではないのか」(自民党国対筋)という見方もある。
こうした体質は、野田政権にも引き継がれた可能性が高い。
野田首相が今国会での成立を目指す「消費税10%」とは別に、年金制度の抜本改革のために必要となる7・1%の増税について、政府と民主党執行部は当面、根拠となる「財政試算」を国民に示さないと決めたのだ。
公明党の山口那津男代表は30日の参院代表質問で「逃げず、隠さず、堂々と年金抜本改革の全体像を示してもらいたい」と詰め寄った。
さらに、野田首相や民主党幹部が出席して重要政策を決定している政府・民主3役会議について、藤村修官房長官と輿石東幹事長は30日、議事録を作成する必要はないとの認識を示した。
政治評論家の小林吉弥氏は「当然、議事録は残すべきだし、情報・試算は公開すべきだ。自分たちの国家運営に自信がないのかもしれないが、政権政党の体をなしていない」と指摘している。