放医研(放射線医学総合研究所)の島田義也という学者が、あちこちにいって、「恐ろしい」話をふれ廻っているらしい。
人々はそれを、
「じつは恐ろしい話」だと気がつかずに、
ありがたく拝聴しているらしいのです。
その一例。
http://www.yamamoto-hiroshi.net/archives/actions/2011/03/19_2413.htmlより
<これまでの活動記録>
公明党の福島第1原子力発電所災害対策本部(斉藤鉄夫本部長)は18日、衆院第1議員会館で、放射線被ばくの影響について、放射線医学総合研究所の島田義也氏(理学博士)の説明を聞き、意見を交わした。
島田氏は、一時的な不妊など被ばくによる急性症状について、「10万マイクロシーベルト以下では心配する必要はない」との医学的な見解を紹介。がんの罹患率など、将来的な影響についても、10万マイクロシーベルトの被ばく量では医学的に意味のある違いは見られないと説明した。
また、安全のために法律が仮定する「日本人全員が10万マイクロシーベルトを被ばくした場合、がん死亡率が現在の30%から30.5%に増加する」との基準にも触れ「がんの危険性は、10万マイクロシーベルトの被ばくより、たばこの方が高い」と指摘。現時点で、国民生活への影響を過度に心配する必要はない、と訴えた。
斉藤本部長らは「正しい知識の普及が必要だ」と述べた。(2011年3月19日付 公明新聞より転載)
これは、公明党の参議院議員山本ひろし氏のサイト「どこまでも人間主義」から拾ってきたものだ。しつれいながら、島田義也氏の話がこの記事のとおりなら、少しも人間主義ではない、むしろ反人間主義といえましょう。
まず、普通の人だったら「10万マイクロシーベルト」なんていいません。「100ミリシーベルト」と素直にいいます。こういうこけおどしの大きな数字をもてあそんで安全を強調するやり方は、まず詐欺師かSF商法が行う手口といって間違いないでしょう。
一時的な不妊など被ばくによる急性症状について、「100ミリシーベルト」以下では心配する必要はない、と言い切ってよいものか? それなら福島原発内で働いていた東電女子社員がなぜ「3ヶ月で5ミリシーベルトという規準を超えた」といって問題になったのですか? 公明党の国会議員だったらきちんと糾すべきではありませんか?
国際放射線防護委員会ICRPの最新勧告のなかでも、急性傷害の「不妊」については特筆されているはずです。島田義也氏はそれを無視しています。
次に、「がんの罹患率など、将来的な影響についても、100ミリシーベルトの被ばく量では医学的に意味のある違いは見られないと説明した。」
・・・・これも非道い!
放射線影響を少なく少なく宣伝したいがための島田氏の私見に過ぎません。国の防災指針の元となって居る国際放射線防護委員会ICRPの見解に背く発言ですから、もしかすると国家公務員法違反に問われるかもしれませんよ。
また、10ミリシーベルトから100ミリシーベルトの低線量被ばくの範囲が、広島や長崎そして全国の「原爆症認定訴訟」で争われました。裁判は医学者の証言を踏まえて、それを原爆症と認定しました。
「がんの危険性は、100ミリシーベルトの被ばくより、たばこの方が高い」と指摘、
・・・・・これも酷いですね。被ばくによってたばことは無関係の子供のがんが増えたら、島田さん、どうやって責任を取るのでしょうか?
公明党の議員さんにも申上げたい。真贋を見極める目を失ってしまったのですか? こんな話をありがたく拝聴して、いったいどこが『人間主義』なのでしょうか。
別の一例
http://blogs.yahoo.co.jp/xkoe_asahicom/62672102.html
2011/4/2/21時~NHK TVで独立行政法人放射線医学総合研究所 島田義也氏 が放射能の人体への影響について判りやすい解説をしてくれた。かいつまんで、1. 人間が生涯に浴びることが許される放射線量(成人)100mSv 2. 子供の場合は 30mSv3. 放射線は人間の細胞を傷つける。4. 放射線により傷つけられた細胞は修復されることはなく、累積していくと考える。5. 内部被爆と外部被爆の足し算 と 晒される時間 との掛け算 で評価する。6. 評価は癌の出現率の増加率でする。7. もともと日本人の癌の出現率は50%です。8. 今までの福島原発の放射能ばら撒きからすると癌出現の増加率は飯館村の子供 +0.25% 400人に一人の割合で増加。飯館村の大人 +0.10%1,000人に一人の割合で増加。 東京の大人 +0.01%10,000人に一人の割合で増加。
確かに判りやすいかも知れませんが、視聴者に
「人間が生涯に浴びることが許される放射線量(成人)
なんていうことを伝えたとしたら、
これは犯罪以外の何者でもありませんね。
国は、
「原子力施設の従業者の放射線量限度は一生涯に100mSv
と定めたはずです。
さらに非道いのは、
「子供の場合は 30mSv」
一体だれがそんなことを決めたんだ!
公共放送を使ってこのような、流言飛語を飛ばすものを、なぜ警察は逮捕しないのでしょうか!
すいません、つい劇高してしまいました。
「飯館村の子供 +0.25% 400人に一人の割合で増加。」
小児がん400人に一人はものすごく大きな数字です。
平気なんですね、このひと。
20歳未満の小児のがんが、普通どのぐらいの頻度で発症するか、知ってか知らずか、平然として「大した数ではない」と、言いぬけているのです、島田義也。
また別の一例、
http://d.hatena.ne.jp/poppyclub/20110404/1301890508
独立行政法人放射線医学総合研究所 島田義也氏のNHKでのコメント
飯館村 23日~27日の積算放射能4.81ミリシーベルト
自然から放射線を一生の間に120ミリシーベルトを浴びる。
それに、病院で医療被ばくをします。
それ以外で大人の場合
生涯積算被ばく量 100ミリシーベルトを超えると
癌のリスクが0.5%増える
子供の場合 リスクが大人より8倍
癌のリスクが4%となる
NHKが何度も専門家として島田氏を出演させています。
人体に影響がないとする一連のコメントです。
これが、どういう意味をなすのか?
この日は子供のリスクは大人のリスクの8倍といってますね。同じ島田さんが2日前には、こどものリスクを2.5倍で計算しています。
随分とイイカゲンです。
それから、
「生涯積算被ばく量 100ミリシーベルトを超えると
癌のリスクが0.5%増える」
これは、「大人」にかぎったことでは有りませんよ。対象者は大人も子供も含めた全人口で、それに対して癌のリスクが0.5%増える、ということです。
がんの死亡率=がんの全死者/全死者
が、30%から30.5%に増えるということです。
こどもへの影響が大人の8倍あるとすれば、がんの死亡者の増加分の半分以上は小児のがん死亡者がになう、ということになるでしょうね。
厚生労働省の人口動態調査によれば、小児がんの死亡率は平時でしたら、0.038%でしかありません。小児がんと被ばく時小児で大人になってからがんで亡くなる方を含めて、それが10倍に増えたら、0.38%の増加。
それが7割で大人の分が3割だとすると、合計で0.5%増となります。
パーセント(%)のマジックに隠れていた島田義也氏の発言は、実は、子供がやがてがんで死ぬであろうリスクが10倍に増える、というやりきれない悲しさを意味していたのです。
もし島田義也氏が、放射線医学総合研究所を代表する肩書きであちこちで放言を繰り返していたのなら、研究所は組織をあげて、国民に向って謝罪し懺悔する必要があるでしょう。
国民の命を軽んずる「ホーイーケン」など要らない。
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5月16日26時の追記
ハンドルネームicrp2007 さん
コメントありがとうございます。
少し長くなりますので、ここにお答えを書きます。
貴方の方に勘違いがあるかと存じます。
1、あなたは島田さんの代理人のかたなのですか?放医研の方ですか?
2、国の放射線防護は「防災指針」に則って行われています。日本は法治国ですから。それに従わない説明は法令違反です。国の防災指針や線量限度の法制をまず、示さなくてはなりません。
3、ICRP2007をもちだしてとやかく言ってケムに巻くのはおかしな話です。国民に公開すらされていません。法律上の線量限度を守るのは、公務員たるものの当然の義務です。またどうしてもICRP2007を説明なさりたいなら、ICRP1990あるいは国の防災指針、法制化された線量限度との違いを、全ての原文を引用して明記しなくてはフェアではありません。
4.>ICRP2007年勧告(236)で・・・
これまでとどう変わったのですか? 知識を公開せず占有して誤魔化してはなりません。
5、>不妊のしきい値は2.5~6.0Sv(2,500~6,000mSv)と言われています。
あなたの指摘は恐ろしい永久不妊のことではありませんか?
(一時的不妊ではない)
6、福島の子どもたちが東電女子社員より低い線量管理の下に措かれていることはお認めになったようですね。3ヶ月≦5mSvは1年間≦20mSvより厳しい条件なのですから。
7、そんなことでよくもマア、島田氏が「子供の被ばくの専門家」だなんていえたものです。「子供を被ばくからまもらない専門家」なのでしょうか
8.一般的に「有意なデータ」というのは、統計的な誤差を考えての「有意」ということで、それが「0」ということを意味するのではありません。仮にその領域でのサンプルが「+」の値を指していても「確証的」でないと言う意味です。ということは逆に値が「0」を指したとしても、それが統計的に有意でない限りは「0」といってはなりません。つまり「unknown」というべきです。
あなたのようにそれを「0」であるかのように印象操作をおこなう、科学用語を誤魔化しの道具につかった時点で、科学者たる資格を失うと思いますがいかがですか?
9、閾値あり理論の欠点は殆どの場合そこにあります。自分たちの動物実験では「有意でない0」であるにも拘わらずそれを「0」といい、反論者の「+」を「有意でない」からとして「0」だと言い切る。
10>人間が生涯に浴びることが許される放射線量(成人) 100mSv・・・
その表現は私のではなくハンドルネーム「icrp2007」さんのものですね。
今夕も島田氏はNHKに出演していましたが、(ゆうどきねっとわーく)
「人間が生涯に浴びることが許される放射線量100mSv」とか
「1度に100mSv浴びなきゃ大丈夫」だとか
「年間100mSvまでは身体に影響がないとされる」とか
「福島のひとたちは年間100mSv以下でしかもダラダラと浴びている」とか、わずか20分の間に、言い回しをクルクル変えていましたね。これははっきり私が耳にしたことです。
島田氏は、事故を起こした東電の代理人として言い逃れをしにスタジオにいったのでしょうか? 見え透いた言い逃れをして、不安を煽る底意でもあったのでしょうか?
ところで、同じ立場でありながら、
島田義也氏は「マスクをすればセシウムは防げる」といい、山下俊一氏は「マスクなんかも必要ない」という。山下氏のほうが、「放射性セシウムの微粒子の直径を考えれば、マスクなんかじゃ防げない」という、「科学者」らしいリアリティに基づいているのでしょうか?
by kiyomaro
除染はイカサマ、効果なし、環…