WTOレアメタル最終審 中国敗訴
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WTOレアメタル最終審 中国敗訴

1月31日 7時42分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

中国政府がレアメタルを含む鉱物資源を対象に行っている輸出の規制が、WTO=世界貿易機関のルールに違反するかどうかが争われた貿易紛争で、WTOの最終審に当たる上級委員会は、30日、1審に続いて中国側の違反を認定する判断を示しました。

この問題は、レアメタルのマンガンのほか、ボーキサイト、亜鉛などの鉱物資源を巡って中国政府が不当に輸出量を規制したり、輸出税をかけたりしているとして、アメリカやEU=ヨーロッパ連合などがWTOに提訴していたものです。1審に当たる紛争処理小委員会は、去年7月、中国側敗訴の判断を示していました。中国政府は「限りある資源を保護するためだ」などと主張して上訴しましたが、WTOの最終審にあたる上級委員会は、30日、1審の判断を支持して中国の規制がルールに反していることを認め、改善を勧告しました。これによって中国側の敗訴が確定することになります。欧米各国は電気自動車などの製造に欠かせないレアアースを巡っても、中国が不当に輸出を規制しているとして、WTOへの提訴を検討しており、今回の判断がレアアースを巡る問題にも影響を与える可能性があります。これについてアメリカのカーク通商代表は声明を発表し、「アメリカにとって大きな勝利だ。オバマ政権は中国をはじめとするすべての国が貿易上のルールをきちんと守り、アメリカの製造業と対等の条件で競争することが担保されるよう、今後も尽力していく」と述べました。またEU=ヨーロッパ連合は声明を発表し、「外国との競争を避け国内産業を保護するための手段として輸出規制を行うことは認められないという明確なメッセージを送るものだ」として今回の決定を歓迎しました。そのうえで「中国は速やかに輸出規制を撤廃しなければならない。中国が今後レアメタルを含めた輸出についてWTOのルールを順守することを期待する」としています。一方、ジュネーブにある中国政府の代表部の担当者は主張が認められなかったことについて「非常に残念だ」とする談話を出しました。そのうえで「WTOのルールでは貿易の自由化に当たって、限りある天然資源や環境を保護するために加盟国が必要な措置を講じることが認められている」として、「異なる政策目標のバランスに配慮して解決すべきだ」と主張しています。一方で、今回の判断では、輸出枠の割り当てや最低輸出価格の規定などに関し、中国側の主張の一部が認められたとして歓迎しています。