日本たばこ産業(JT)の最新調査によると、2011年における日本成人喫煙者率は、調査を開始した1965年以来最低の21.7%となった。その背景には、世界的な禁煙ムードがあるだろう。各国の企業や公共団体が、禁煙を促す取り組みを行っており、喫煙者は肩身が狭い思いをしているはずだ。
2010年4月、神奈川県で「受動喫煙防止条例」が施行された。同条例は、不特定多数の人が利用する公共の空間や、飲食店他を含む施設での受動喫煙を防止するために禁煙、分煙を義務付けた国内初のものだった。
富士経済と三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査・試算によると、施行3年間で神奈川県が受けた経済的な影響は、マイナス237億円程度。年度別には2010年約55億円、罰則が適用される2011年約106億円、そして2012年は約76億円。また試算は、同様の条例が仮に全国で導入された際にも及び、その額は約4880億円のマイナスとなった。やはり変化への対応には、少なからず経済的な痛みが伴うようだ。
海外でも喫煙に関しては話題が事欠かない。財政問題でお騒がせのギリシャもそのひとつ。2010年の調査で喫煙率40%以上と喫煙大国でもあるギリシャも、2010年から法律で飲食店内全面禁煙となった。しかし政府は、財政赤字削減のための施策として、1平方メートルにつき年200ユーロ(約1万9827円)の特別税を支払えば一部店内での喫煙を許可すると、昨年秋に法律の改正を発表した。
ドイツでも、分煙、喫煙スペースの設置に加え、職場での一服、労働時間内のたばこ休憩は、禁止すべきとの動きが活発となっている。ドイツの経済団体は、喫煙者は無駄な喫煙時間で1人年間2000ユーロ(約19万8275円)以上の損失を企業に与えていると発表した。
また、イングランド東部ノーフォーク州のある議会では、職員のたばこ休憩は勤務時間外との規則が2010年から適用された。
さらに、喫煙者3億人という中国では、四川省・眉山の行政区において、課長以上の喫煙者は禁煙達成まで出勤禁止との通告が出され、その大胆な措置が話題となった。
禁煙するか、それとも喫煙を続けるか。喫煙者への逆風はまだまだ続きそうだ。
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