昨年11月19日午前2時ごろ、済州海洋警察署の警備艦は、済州島北方の楸子島沖で、韓国の領海を侵犯し、違法操業をしている中国漁船約40隻を確認した。
取り締まり準備を終えた警備艦「1505」は、午前5時40分、現場に出動し、底引き網漁船の「魯営漁2131号」(190トン)を拿捕(だほ)した。海洋警察は漁船に乗り組んでいた中国人船員6人を逮捕し、警備艦に身柄を移し、済州港へと向かった。拿捕した漁船にも海洋警察官10人が乗り、船長に済州港まで船を航行させた。
拿捕作戦は成功したかに見えたが、午前6時半ごろに警備艦周辺に中国漁船が集結し始め、状況が一変した。
仲間の漁船が拿捕されたことを無線で知った中国漁船26隻は、警備艦と拿捕漁船の進路を妨害し始めた。さらに中国漁船3隻からおのや鉄パイプで武装した船員数十人が拿捕漁船に乗り移った。船員らは拿捕漁船に乗っていた韓国の海洋警察官に無差別に武器を振り回した。海洋警察はりゅう弾発射器、閃光(せんこう)爆音弾、三段警棒で対抗したがかなわなかった。海洋警察は拳銃4丁を携行していたが、後で問題化することを恐れ使用しなかった。結局、巡警(巡査に相当、30)が左腕を骨折する全治7週間の重傷を負い、4人が全治2週間のけがをした。命の危険を感じた海洋警察官10人は拿捕した漁船を放棄し、ゴムボートで警備艦へと脱出した。拿捕漁船は中国への逃走した。
中国漁船の妨害行為はこれにとどまらなかった。午前6時40分から8時10分まで、中国漁船26隻は警備艦を約30キロにわたり追跡し、無線で「逮捕された中国人船員を釈放しろ」と要求した。漁船は集団で警備艦の進路を妨害し、停船させようとした。