(2012年1月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
筆者が最近何人かで話をしていた時、欧州の新しい財政協定は全くばかげているとの見方に全員が賛成しているようだった。
■好意的に表現しても「必要ない」
その会話を聞きつけた、かつての政策立案者は原則的にはその通りと語った。ただ、もし新条約が欧州中央銀行(ECB)により柔軟な姿勢をとるよう促すのであれば、やってみる価値はあるかもしれないと付け加えた。
その後ある中央銀行幹部と話をしたら、新条約に意味がないとの見方には賛成したが、それでも条約を支持するという。金融市場へのシグナルの役目を果たすという理由だった。そこで、よく接触する数人の金融市場関係者と話をすると、あの条約は全くばかげているという答えが返ってきた。
新条約については、どれほど好意的に表現しても「必要ではない」としか言えないだろう。条約の最終版に盛り込まれそうな内容は、既存の条約や法令、特に「シックスパック」と呼ばれる、先に承認された政策監視手段で導入されたものばかりだ。それ以外の内容も、新しい派生法を通じて容易に導入できるだろう。
■景気循環の増幅促す新条約
筆者はまだ、新しい財政条約にどんな効果があるかを説明できる人に会ったことがないが(循環論法の一部である場合を除く)、この条約がもたらすダメージの方は明らかだ。英国のデビッド・キャメロン首相との全く無用な対立を考えるだけで十分だろう。
しかし、財政条約が持つ真の破壊力に比べれば、英国の問題など取るに足りない。この条約は景気循環を極端に増幅する政策の採用をユーロ参加国に促してしまうのだ。
スペインでは既にそれが起きている。スペイン政府は先週まで、合意された財政赤字削減目標の達成のために緊縮措置を積み重ねるようなことはしないと述べていた。それは賢明な政策に見えた。スペイン経済は同国の手が及ばない理由から、予想より早いペースで縮小している。こうした状況で賢明な策は自動安定装置の発動だ。
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