原子力に関する内部告発を受け付ける国の原子力安全・保安院が、愛媛県にある伊方原発で起きたケーブルが焼けたトラブルについて、四国電力が火災として国に報告しなかったなどとする告発を4年半にわたり放置していたことが分かりました。
原子力安全・保安院によりますと、平成4年、当時建設中だった四国電力・伊方原発3号機で、消火用ポンプのケーブルが焼けたトラブルについて、四国電力が火災として国への報告を怠ったとする内部告発を平成18年11月に受けたということです。この告発を外部の専門家でつくる審査委員会が調査した結果、「ケーブルは溶けた程度で、法律上も国への報告義務はなかった」としていました。その後告発者が4年半の間に数十回にわたって再調査するよう電話などで依頼していましたが、保安院は審査委員会に報告せずに放置していました。しかし、保安院が去年8月になって審査委員会に再調査を依頼した結果、審査委員会は、現場にいた企業関係者の記録などから、消火器を使っていて消防に通報する必要があったと結論づけました。そのうえで、保安院の対応について「再調査の依頼の扱いは委員会が決めるもので、報告すべきだった」と指摘しました。再調査の依頼を放置していたことについて保安院は「一度出た結論に影響を与える新たな事実がなかったので報告しなかった。反省しなければならない」としています。