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六ケ所村:相次ぐトラブル 目標時期18回も延期

日本原燃六ケ所再処理工場=青森県六ケ所村で2011年3月27日、本社機から小松雄介撮影
日本原燃六ケ所再処理工場=青森県六ケ所村で2011年3月27日、本社機から小松雄介撮影

 作業が中断した再処理工場は核燃料サイクルの中核を担う。使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出し、再び原発の燃料として使用することを目指している。日本はウラン資源が乏しいだけに、核燃料サイクルは国策として推進されてきた。

 再処理工場は93年4月に着工し当初は97年の完工を目指した。だが、溶融炉内でガラス溶液の流下を促す金属棒が折れたり、高レベル廃液で作業員が被ばくするなどのトラブルが相次ぎ、目標時期は18回も延期された。

 05年から10年程度の国の原子力政策を定めた原子力政策大綱ではサイクル政策の推進が明記されている。だが、東京電力福島第1原発事故を受け、内閣府原子力委員会はサイクル政策の見直しを本格化させた。

 さらに再処理工場から取り出した燃料を効率的に利用する高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)も昨年11月の「国会版事業仕分け」で抜本見直しを指摘され、運用のめどがたっていない。

 一方で、国内の原発には約1万4000トンの使用済み核燃料があり、再処理が進まなければ行き場を失うという問題もある。

 原子力政策大綱の見直し会議委員の伴英幸・原子力資料情報室共同代表は「技術上の初歩的な問題があるのではないか。いずれにしても、サイクル政策の見直しを議論している最中に試験を進めるのはおかしい」と指摘する。【関東晋慈】

毎日新聞 2012年1月30日 21時28分(最終更新 1月30日 23時16分)

 

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