東京都立高校の職員会議で教員の挙手や採決を禁じた都教育委員会通知の撤回を求めていた都立三鷹高校の元校長、土肥信雄さん(63)が、定年退職後に非常勤職員として採用されなかったのは都教委の裁量権を逸脱しているとして、都に1850万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(古久保正人裁判長)は30日、請求を棄却した。
職員会議に関する通知については「校長の裁量権を侵害するとも考えられるが、校長が意思決定の権限を行使できる環境を整えるために発出されたもの」と必要性を認めた。
判決は、通知を「教委の不当な支配」「教職員の言論の自由の封殺」などとする土肥さんの発言を「短絡的」と指摘。「都教委には広い裁量権があり、『組織への協力・協調の姿勢もみられない』などの不合格理由は不合理ではない」とした。
判決によると、土肥さんは挙手・採決を禁じた06年4月の通知について撤回を繰り返し要求。09年3月末の退職にあたり、非常勤職員としての再雇用の試験を受けたが不合格となった。
土肥さんは判決後の記者会見で、「信じられない不当な判決だ」と批判した。そのうえで「学校に言論の自由がなくなることは、子供にとっても最悪。生徒には正直に生きれば必ず報われると教えてきた。もう一度高裁で闘いたい」と表情を引き締めた。【野口由紀】
大原正行・東京都教育長の話 主張が認められたのは当然で、今後も適正に採用選考を実施していく。
毎日新聞 2012年1月30日 23時30分