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「産業突然死」の時代の人生論

領土問題を解決したロシアと中国

 領土問題ではあちこちで各国が今ももめ続ける一方で、最近になって領土問題が解決した例もある。それがロシアと中国の間を流れるウスリー川に浮かぶ大ウスリー島だ。今回、島の半分をロシアから中国へ譲り渡すことで、国境問題は全面的に解決した。この川自体が国境になっていて、一方がロシア、他方が中国の領土である。この点に関しては両国とも納得していたのだが、川に浮かぶ島だけはどちらも譲らなかったのである。

ウスリー河を挟んだ中ロの国境周辺図

 この大ウスリー島の領土問題も根が深く、1969年には軍事衝突も起こったほどだ。当時、我々はともに共産圏であるロシア(当時はソビエト連邦だが)と中国は仲がよいものと思い込んでいた。それが戦争を始めたので、たいへん驚いたことを記憶している。

 近隣を流れるアムール川では、中国側からの汚染が深刻化し、ここで採れる魚は食べることもできない。しかし、アムール川の支流にあたるこのウスリー川はまだ汚染されておらず、魚も食べられる。そういう意味でもロシアにとっては貴重な川なのである。

 なぜこの例では国境問題を解決することができたのか。それは両国にゆとりができてきたからだ。冷静になれば、「これといった鉱物資源もなく、軍事的要衝でもないこんな島、どちらの領有でもかまわない」「だったら仲良く半分ずつにしよう」と、プーチンの一声「中国との国境問題はすべて解決した(2004年10月北京を訪れたプーチンの演説)」で決めることができたのである。

 国境問題ではないが、日本と中国の間のガス田の問題では、日本が資本金を出すという「9回裏二死逆転満塁サヨナラホームラン」のような大技を使って解決した。先にわたしは「領土問題は武力なしには解決しない」と書いた。しかし、国にゆとりさえあれば血を見ることなく実質的に解決することは充分に可能なのだ。

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