東京で28日開かれた日露外相会談で、玄葉光一郎外相とロシアのラブロフ外相が、北方領土での共同経済活動について突っ込んだ話し合いをしたことについて、根室市内の元島民は「新しい橋を架けようとしている」と評価した。
千島歯舞諸島居住者連盟の鈴木寛和副理事長(79)は「これまでの外相会談は、話だけで終わって何も残らないというイメージがあったが、(前原誠司・元外相が1年前に提案した日本の主権を侵さない形での共同経済活動という)新しい橋を架けようとしている」とし、「解決するまでは橋を外さないように」とクギを刺した。
同連盟根室支部の宮谷内亮一支部長(69)は「返還交渉を進めるには、経済問題を議論しないと進まないと思う。一番良いのはビザなし(交流)の枠内でやること。双方で詰めて(領土交渉と)車の両輪で進めることが大事。外相はモスクワに早期に行くべきだ」と交渉の加速化を促した。
歯舞群島・水晶島出身の柏原栄さん(82)は「将来の平和条約に向けてどういう戦略を取っていくかデザインを持つことが必要。海を制する者は世界を制すると言うが、『海洋を中心に』というロシアの意図に日本がどう対応し、どう実現するか」と海での共同経済活動に期待を示した。【本間浩昭】
毎日新聞 2012年1月29日 地方版