自動車の排ガス浄化触媒などに使用されるレアメタル(希少金属)「パラジウム」に供給不足の恐れが出ている。自動車メーカーの需要が過去最高の水準に増える一方、世界最大の生産国であるロシアが今年、国家備蓄からの販売量を少なくとも8年間で最小の水準に抑制する可能性があるためだ。取引価格は既に高騰の兆しを見せており、投機筋による思惑買いも進んでいる。
バークレイズ・キャピタルの試算によると、今年のロシアの在庫からのパラジウム販売量は前年比80%減の15万オンスとなり、これによって27万5000オンス分の供給不足が生じる。また、これを含む全体のパラジウム供給量は同7.9%減の683万オンスに落ち込み、減少幅は2008年以降で最大となる見通し。一方、需要量は同10%増の953万オンスに拡大する見込みで、大幅な供給不足が予想されている。
インタファクス通信は昨年10月、ロシアの貴金属・宝石備蓄機関「ゴフラン」と関係がある財務省当局者の話として、今年と来年のパラジウム販売量は4.5トン(14万4680オンス)を超えず、また14年には販売が終了する可能性があると報じた。同国の在庫は1970~80年代の過剰生産により生み出されたもので、その規模は国家機密となっている。