TPP交渉参加に向けて始まった関係国との事前協議。どんな姿勢で協議に臨むのか。政府の対処方針が判明した。原則、すべての品目を交渉対象にすると伝えるのが柱だ。
TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加に向けた関係国との事前協議が本格化してきた。日本が交渉のテーブルに着くには米国、オーストラリアなど交渉参加9カ国すべての了承を事前に得る必要があるためで、政府の協議団がベトナム、ブルネイなどを訪問した。
最大の関門となりそうなのが米国。日本の交渉参加が認められるには、米政府が議会と2〜3カ月ほど協議したうえで、交渉開始の90日前までに議会に通告する必要がある。米政府にとっては、日本との事前協議で米議会を説得する材料をどれだけ引き出せるかが焦点になる見込みだ。
このため、日本政府関係者は「日本の自動車市場の開放問題などがやり玉に挙がる可能性がある」と警戒感を強めている。外務省幹部は「不当な要求には毅然とした態度で臨む」と話す。
こうした心配をする前に、日本がまず問われているのは、事前協議で高いレベルの自由化を目指す考えを伝えるかどうかだ。後ろ向きの姿勢を強調するほど、交渉参加までの調整に手間取り、交渉参加後に日本が議論の主導権を握ることが難しくなりかねない。