東京・丸の内で帰宅困難者受け入れの実験 M7クラスの首都直下地震が発生と想定
マグニチュード7クラスの首都直下地震が発生したとの想定で、27日夜、東京・丸の内で帰宅困難者を受け入れる実験が行われている。
首都圏で650万人と推定される帰宅困難者にどう対応するか、行政と民間は試行錯誤を重ねている。
27日夜、都内で、首都直下地震にともない発生した帰宅困難者を受け入れるための実験が行われている。
東京・行幸通り地下通路では、マットの上にエアマットを敷き、毛布をかけて寝るという。
参加者は「全然、地面より気持ちいいです。冷たくないんで、楽だし」と話した。
東京湾を震源とするマグニチュード7クラスの地震が発生し、都心が48時間以上停電、首都圏の鉄道各線が運行を停止した、などの設定で、27日夜から28日の朝にかけて実験が行われ、参加者およそ20人は、この地下道で一夜を過ごすという。
小学生の参加者は「(きょうは1人で参加ですか?)パパと。(1日ここで過ごすということなんですけど、ドキドキする?)はい」と話した。
また、ほかの参加者は「気持ちとしては、思ったより寒いなって思って、本当に電気止まっちゃったりしたら、かなりきついだろうなっていうのは思いますね」と話した。
2011年の震災時、首都圏で、およそ515万人にものぼったとされる帰宅困難者。
東京都では、民間の大型商業施設などでも帰宅困難者を受け入れるよう、新たな条例づくりや対策を急ピッチで進めている。
震災当日、およそ400人の帰宅困難者を受け入れたという東京・千代田区の丸の内ビルディングでは、震災後も帰宅困難者対策を進め、現在、800人程度の帰宅困難者を受け入れられるよう計画を立てているという。
三菱地所ビルマネジメントの稲富悠介さんは「現在、今、こちら、通路として使っておりますけれども、震災の当日はですね、皆さまが横になってお休みになれるスペースとして開放させていただきました」、「基本的にはもうビルは安全・安心なものですから、そういった倒壊とかっていうのは、ほぼあり得ないという中で、帰宅困難者受け入れ、3.11よりも、さらに大幅にできるような態勢を整えております」などと話した。
しかし、2011年の震災は、東北地方が震源地だった。
首都直下地震が発生した場合、果たして対応できるのか。
被災地、仙台のデパートでは、震災時の店内は、ショーケースが倒れるなどして通路をふさぎ、割れたガラス類などが床に散乱した。
さらに、スプリンクラーが破損し、店内が水浸し状態になるなど、館内に帰宅困難者用のスペースを確保することは難しかったと振り返る。
仙台三越総務部の鴇田 浩課長は「あちらに置いてある什器(じゅうき)が倒れまして、上のガラスが全て割れてしまったと。(客の)動線のほうに倒れてしまってですね、動線をふさいだような形になってますね」、「本来であればですね、1つの公共施設といわれるような百貨店の中で、お客さまを囲い込むというかですね、守ることが大事だと思うんですけども、3月11日の大震災の時には、ちょっと百貨店の中では、ちょっと難しかったっていうのが、正直なところです」などと話した。
27日夜に行われている、首都直下地震での帰宅困難者対策。
その様子を見た専門家は、「最悪の条件下での実験が必要」と指摘する。
防災システム研究所の山村武彦所長は「基本的にこういう実験のやり方として、今見てみると、ほとんど、何かリアリティーがないですね。通常の場合にこういう閉鎖空間に人間がその間、いられるかというと、大抵の場合、いられないと。『中に入ってください』って言っても、実際には出てしまう。人がどんな動きするか、どんな心理状態になるか、こういったこと(視点)が、どうも欠けているんですね」と話した。
想定を超えることも予想される首都直下地震の被害。
いつ来てもおかしくない今、その対策が急がれる。
(01/28 01:59)