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カラス

2008年4月3日(木) カラス

数日前、下関市立しものせき水族館「海響館」のDさんから「カラス」が入荷したら分けてほしいというご依頼がありました。市内の水産大学校のS教授と共同で遺伝子等の研究をされているそうです。「カラス」が入荷したのでお知らせしたところ、昨日S先生が取りに来られました。

「カラス」といってももちろん鳥のカラスではありません。ふぐの種類です。標準和名が「カラスフグ」ではなくて「カラス」なので紛らわしいのです。下関での地域名は「クロ」「ガトラ」「ガータロ」といったところでしょうか。

最近入荷がめっきり減りましたが、以前は「トラフグ」の一種とみなされていたため、本来の「トラフグ」は「シロ」、「カラス」は「トラフグ」の「クロ」となっていました。今では別種であることが判明して、「カラス」として扱われています。

なぜ「クロ」と呼ぶのかというと、トラフグのしりびれが白いのにカラスのしりびれは黒いためです。これが両者を見分ける大きな違いです。それ以外にも、トラフグに比べて背も黒っぽくて斑紋がはっきりしないこともそのように呼ばれる理由でしょう。

しかし「みがき」の状態にするとほとんどトラフグとは区別がつきません。ですから養殖トラフグが一般化するまでは、やはり最高級の天然トラフグに準ずるものという扱いでした。しかし現在は隣国との漁を行う海域の境界線の問題もあって、あまり漁獲されなくなりました。

先ほど電話があり、今度は別件で水産大学校のI教授より「ヒガンフグ」を準備するようにご依頼がありました。I先生はフグの耳石を調べて、フグの年齢と生息海域の関係を調査されています。長くなるので「ヒガンフグ」についてはまた別の機会にしましょう。

このようにフグの街下関では、フグを食べるだけでなく、いろいろな研究でも日本の先進地としての役割を果たしているわけです。

コメント

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■ はじめまして トラフグ・・・

はじめまして
トラフグで検索してこちらにたどり着きました。

食用種22種類のうちハリセンボン、ヒトズラハリセンボンだけが標準和名にフグがつかない物だとばかり思ってました。
何で「カラスフグ」じゃないんでしょうかね。
疑問です。謎です。ややこしいですね。

いまさら、漁師、仲買人、飲食店、研究学者、法学者
の間でオマケに全国さまざまな方言のあるフグの
名前を完全に再統一するのは難しいでしょうね。
abcd | 2009-06-23 20:25 |
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