2012年1月29日03時00分
■親は演技してでも平然と
受験シーズンを迎えています。高校受験に比べ、親の関わり方が深い中学受験では、失敗した時に親もうろたえてしまいがち。子どもが志望校に落ちた時、どう接したらいいのか。専門家に聞きました。
「息子のことで、こんなにショックを受けるとは思わなかった」。神奈川県の母親(52)はそう振り返る。
第1志望の私立中の合格発表の帰り道。不合格だった長男を「明日の試験、頑張ろう」と平静を装って励ました。だが内心では、もっとしてあげられることはなかったかと落ち込んだ。協力的でなかった夫が不機嫌になったのもこたえた。入学後もしばらくは、落ちた学校の制服を見るだけで動揺した。
「むしろ、親の方が引きずることが多いんです」と中学受験に詳しい森上教育研究所の森上展安代表は言う。中学受験は高校、大学受験と異なり、志望校選びから日々の勉強まで、数年にわたってかかわる親が少なくない。二人三脚で頑張ってきた分、挫折感を味わうことも。「残念だったねと気持ちを受け止めた後は、演技をしてでも泰然としていてほしい」。親が思う以上に、子は親の態度を気にしているからだ。
信頼できる塾に通っているなら、連絡してから行かせるといい。塾は子どもの気持ちを立て直すことに慣れており、次の学校への対策も立てられる。
子どもは泣くかもしれないが、無理に止めるより、大泣きした方がすっきりする。家族でおいしい夕食を囲むのも力になる。
試験問題を見直す場合は、できた問題をまずほめる。気になる点はいくつかに絞り「ここは出るかもしれないから、もう一度見直そうか」と次につなげる。
「後悔しない中学受験」の著書がある教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは「第1志望校がすべてだと思わないで」と助言する。
最近は「生きる力」を育もうと、各校がカリキュラムに工夫を凝らしており、学校の良さは偏差値だけでは測れない。第1志望以外についても、できれば受験前から「この学校にはこんな良さがある」「こんなクラブがある」と親子で良い点を見つけておきたい。
落ちた後で、夫婦げんかになることもある。「子どもの伴走者を務めていた夫や妻を、もう一方は責めてはならない。冷静に助言し、支えてほしい。受験事情は変化しているので、祖父母も口を出さない方がいい」
中曽根さんの長女も、中学受験で第1志望校に落ちた。「なかなか落ち込みから抜け出せないものですが、後になれば、人生の通過点に過ぎないことがよくわかる。受験後の春休みは、たとえば家族で旅行に出かけ、親子で視野を広げてみては」(佐々波幸子)
■本番「思い切って」と伝えよう
大手学習塾・日能研の推定によると、昨年度、東京、神奈川、千葉、埼玉で国立や公立の中高一貫校、私立の中学を受験した小学6年生は、全体の約2割。朝日新聞の調べでは、東京23区内で昨年4月に区立中へ進学した子どもは、全体の7割だった。関西や千葉、埼玉などでの私立中入試は、今月末でほぼ終わる。2月1日からは、東京や神奈川で入試が始まる。
受験の前に心がけたいこととして、森上さんが挙げるのは、子どもに「仮に落ちても、早めに失敗を経験するのは大事なこと。だから思い切って受けておいで」と伝えること。試験前は「普段通りの力を出せれば大丈夫だよ」と励まし、本人の自信を呼び覚まそう。持ち物を一緒に確認し、当日の送り出しは笑顔で。伸びをしたり、深呼吸をしたりして試験に臨むよう伝えよう。