'12/1/24
土地売却益で被爆建物保存へ
広島市は23日、広島大本部跡地(中区)の再開発で、跡地内の市有地の売却益を被爆建物の旧理学部1号館の保存・活用費に充てる方針を決めた。市はこの土地を国立大学財務・経営センター(千葉市)が所有する再開発事業地と一括で売却する。
老朽化が著しい旧理学部1号館は、市が保存範囲や活用方法を検討中。市民団体などから全面保存の要望が出ているが、内部に人が入れるよう耐震補強するには多額の経費が必要。財政難の市には重荷で、あらかじめ財源を確保しておく必要があると判断した。
跡地をめぐっては、事業者が参入しやすいよう、センターが所有する旧理学部1号館がある敷地1・3ヘクタールと国道2号に面する市有地1ヘクタールを等価交換することで合意済み。市有地の方が地価が高いため、差額分の土地が市に残るという。
市はこの土地をセンターの土地と一括で再開発の事業者へ売却し、1号館の保存・活用費用に充てる。市は2012年度当初予算案に、土地交換に必要な評価額の鑑定や測量費などを盛り込む方針だ。
また、広島大はセンターが所有する跡地内の国際人材育成センター(仮称)の予定地0・6ヘクタールを取得することを決めた。「知の拠点再生プロジェクト」の核となる施設で、広島大東千田キャンパスの北東側駐車場0・3ヘクタールと交換する。
市とセンター、広島大の3者は3月末までに、それぞれの土地の評価方法や交換時期を詰める。合意すれば、12年度に土地交換の契約を交わした後、センターの土地と市有地の購入を希望する民間業者を公募。売却期限に設定する12年度末までの業者選定を目指す。