――同時リリースですが、2作とも作詞を手がけ、「POP MASTER」では作曲まで自分でされたんですね。
【水樹】 「POP MASTER」はギリギリまで曲が決まらなくて……私も、曲のコンペに参加しました(笑)。
――職業作家さんたちとガチで争って?
【水樹】 みなさんのたくさんのデモと一緒に、私の曲も聴いてもらって、すごく緊張しました(笑)。実はその前にも何度もデモテープ会議があって、全部で約100曲近く聴いたんですけど、イメージに合うものと巡り合えなくて。ギリギリのタイミングで、もう一度コンペをすることになったとき、三嶋プロデューサーから「明確なビジョンがあるなら、自分で書いてみたら」と。
――どんなイメージがあったんですか?
【水樹】 ツアーで、みんなと一緒に歌える曲にしたかったんです。このところシングルは切なく情熱的な曲が多かったから、どうしても険しい顔で歌い上げることになってしまっていまして(笑)。とびきりの笑顔で、みんなと思い切り飛べる曲を歌いたいと、ずっと思っていました。でも実際作るとなると、本当に難しくて。
――イメージはあってもメロディは出ずに?
【水樹】 明るく楽しくみんなですぐに歌えるように……というと、どうしても単調になってしまいがちで。ただ明るく元気なだけじゃなくて、笑顔の裏にある努力や苦悩、青春の汗と涙も感じられるように……と考えたら、どんどんハードルが上がって難産でした。メロディが降りて来なくて、キーボードを抱いたまま眠りにつく日が続いて(笑)。締切直前にフッと浮かびました。
――どこで?
【水樹】 台所で(笑)。小腹がすいて何か作ろうと思って行った瞬間、♪トゥルル〜と降りてきて、急いでレコーダーに吹き込みました。それでサビができて、2日後にまた、台所でAメロ、Bメロが浮かんで。今年は前厄で、厄除けのお札を台所に置いているので、そこから神様がいらっしゃったのかもしれません(笑)。
――<Diving Diving Diving>とかの繰り返しが印象的で耳に残ります。
【水樹】 コール&レスポンスができるように、繰り返しのメロディを作って、言葉もハマるといいなって。でも、今回は歌詞も難航しました。一度書いたものを「違う!」って、全部書き直したのは初めてです。
――詞はどういうところが難関で?
【水樹】 曲と同じように、最初はストレート過ぎて単調になっちゃって、「これじゃ全然伝わらない!」と。みんなの耳に残るフレーズを……と考えていたら慎重になって、始めはちょっと守りに入っちゃいました(笑)。
――この曲は『高校生クイズ』の応援ソングなんですよね。
【水樹】 憧れの番組だったから、すごく嬉しくて!高校生のときに出ることが叶わなかったので、まさかこういう形で参加できるなんて、夢みたいです。
――クイズ、得意なんですか?
【水樹】 いえ(笑)。答えるのは頭の良い人にお願いをして、体力担当で参加したかったんです。走って行ってピンポンを押すとか。『高校生クイズ』は“知力・体力・時の運”で、そういうアトラクション的な要素があるのが楽しくて。
――<不可能な程燃えるでしょ?>というフレーズもありますが、奈々さんもそういうタイプ?
【水樹】 ちょっとM体質かも……(笑)。高い壁がそびえてると「やるぞー!!」って燃えます。打ちのめされることがあっても、厳しい道ほど、チャレンジすることで何にも代えられないものを得られます。夢に向かうのは、そういうことの繰り返しだと思っています。それと『高校生クイズ』で優勝を目指して、難関をくぐることをシンクロさせました。
――今は何かに燃えていますか?
【水樹】 英語です!前にイギリスに行ったときも、帰ってきてから英語の本を買ったんですけど、2〜3ページ読んで三日坊主というのがたまっていて(笑)。それで、『ハートキャッチプリキュア!』で一緒だった水沢史絵ちゃんと、ふたりで教室に通い始めました。いつか海外のアニメフェスに行くことができたら、向こうのファンの方とコミュニケーションを取れたらいいな。
(文:斉藤貴志)