東京大学大学院の加藤泰浩准教授らのグループは太平洋の海底に高品位のレアアース(希土類)を含む泥が堆積していることを発見、7月に著名な学術誌「ネイチャー・ジオサイエンス」に発表した論文が大きな反響を呼んだ。レアアースはハイブリッド車用の高性能モーターなど環境技術に欠かせない素材でありながら、産出地が中国などに偏っているためだ。加藤准教授は日本の排他的経済水域(EEZ)内にも「有望な海域がある」という。
――太平洋の海底のレアアース泥は、中国など陸上の資源とは異なる面があると聞きました。
「レアアースの濃集プロセスが異なる。陸上の資源はマグマの働きで生まれたものだ。マグマ活動でできた、ある種の火成岩はレアアースを多く含む。しかし同時にトリウムやウランといった放射性物質も含む。レアアースを抽出する過程でこうした放射性物質が一種のゴミとして残ってしまい、扱いが難しく、環境や健康問題を引き起こす原因となっている」
「これに対し、海の生成プロセスでは海水そのものに含まれるレアアースだけが濃集する。トリウムなどを含まない。しかも15種類あるレアアースのうち産出地が中国に偏っている重いレアアース(重希土類)が多く含まれるのが特徴だ」
「太平洋東部に中央海嶺と呼ぶ巨大な海底山脈がある。そこは地下深部からのマントル上昇で海洋底(海の岩板)ができる場所だ。ここから放出された熱水プルーム中の鉄分を含んだ懸濁物質が海水中のレアアースを吸着する働きを持つ。温泉の湯あかのようなものをイメージしてくれてもいいが、これが広範囲の海底に長い時間をかけて降り積もっている。さらにフィリップサイトと呼ぶ高い吸着能をもつ鉱物もレアアースの濃集に関係しているようだ」
「この海底の泥を引き揚げて酸で処理すれば容易にレアアースが抽出できる。残土は放射性物質を含まないので、アルカリで中和すれば安全に処分できる。経済的な採掘が可能だ」
――資源量は陸上の800倍あるとか。
「分布するのは、大まかに言って中央海嶺から2000~4000キロの範囲の南東太平洋と中央太平洋の海底だ。堆積するのにちょうど適した範囲があり、それが海洋底の移動とともにベルトコンベヤーのようにゆっくり動いている」
「私たちは海洋底の国際調査で過去に採取された約70本のコア(円柱状の地層サンプル)を分析して、レアアース泥の分布を推定した。南太平洋のタヒチ島の東の海底地層では表面に近いところに濃度1500ppm(ppmは100万分の1)にも達するレアアースがある」
「この地域の海底を4平方キロ(深さ10メートル)にわたって開発するだけで日本の年間レアアース消費量の1、2年分を供給できる計算だ。非常に魅力的な資源だが、そこはフランス領だ。日本のEEZにも資源は存在すると見込んでいる。有望海域はすでに絞り込んでいるが、資源戦略上いまはまだ明かせない」
加藤泰浩、レアアース、希土類、EEZ
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