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エコロミスト群像

日本近海にも眠るレアアース資源 東大大学院の加藤准教授に聞く
編集委員 滝順一

(2/2ページ)
2011/11/23 7:00
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 「資源量が陸上の800倍もたくさんあるというだけでは意味がない。大事なのはどこにどれくらい経済的にみて意味のある資源が存在するかを知ることだ。私たちの調査で資源の分布が科学的に推定できるようになったことに大きな意味がある。フランスは今回の発見に強い関心を示していると聞く」

 「現在、中国が世界のレアアースの約97%を生産しており、環境問題や資源保護のため輸出制限に踏み切ったことはよく知られる。今年前半だけでもネオジムやジスプロシウムなどの価格が3~5倍にはねあがった。海洋底資源を開発できれば、中国の独占を突き崩せる」

 ――日本としてこれから取り組むべきことは。

 「基礎的なデータを集め、本当に採掘可能か実証する必要がある。日本には世界トップクラスの海底掘削調査船がある。これを使って有望海域の海底を詳細に調べたい。併せて、泥を海面上まで引き揚げる技術の実証を進める必要がある」

 「レアアース資源を確保するため、日本はレアアースの使用量を減らす代替技術の開発に力を入れる一方で、製品から回収、リサイクルする技術の開発も進めている。こうした防衛的な技術開発が大切なのはもちろんだが、攻める研究開発も必要だ。レアアース資源を確保したうえで、さらにレアアースの新機能を見つけ出し実用化することで世界をリードしたい」

 ■取材を終えて
 加藤准教授らの発見が画期的なのは、太平洋海底に未知の資源の存在を示したことだけではない。その資源の生成プロセスを地球科学的に説明した科学的発見だからだ。生成の仕組みが推定できているので、レアアース泥の分布も推察がつき、広大な海洋底をくまなく調べなくても良質の鉱床がどのあたりにあるのか予測がつく。加藤准教授は日本のEEZにも「有望海域」があると気を持たせる言い回しをするが、学術誌に載せた地図をみればだいたいの推測はできる。
 できるだけ早く調査して資源を確認し採掘技術の開発に取り組む必要がある。それは単に中国の独占市場に風穴をあけるためだけではない。中国のレアアース採掘は相当に荒っぽい手法で行われている。リーチング(酸浸出)といって、鉱床がある土地に穴を掘り塩酸などの酸を流し込み、土壌中のレアアースを溶かし込んだ酸性溶液を回収。そこからレアアースを抽出する。一種の野天掘りであり、酸が地下水や河川水を汚染するなど、残土中の放射性物質による汚染に加えて、深刻な環境汚染を引き起こしているといわれる。
 日本の環境技術がこうした汚染を起こす素材から成り立つことは極めて残念なことだ。海洋底の資源を環境汚染を引き起こすことなく利用する技術を実用化し、環境にやさしい環境技術の実現を目指すべきだ。

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加藤泰浩、レアアース、希土類、EEZ

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